601の地方自治体などで構成する「全国二地域居住等促進協議会」(事務局:国土交通省 地方振興課)はこのほどシンポジウムを開催し、二地域居住を実践する人たち(いわゆるデュアラー)の事例などを紹介しました。(→「二地域居住」とは)
今回発表されたのは、栃木県足利市の取り組みです。
シニアから若者までの4組のデュアラーたちによる、生きいきとしたデュアルライフ(二拠点生活)を見ていきましょう。
飲食店やデザイナー、農業などを営む
❑テーマ:移住定住・関係人口創出の取り組みについて
❑発表者:柏瀬 誠氏〈足利市 総合政策部企画政策課 企画政策・シティプロモーション担当 主査〉
足利市では毎年200人くらいの方から移住のご相談を受けていて、そのうち約6分の1の方に移住していただいています。
相談内容は主に3つで、「仕事」「住まい」「それ以外」がおおむね3分の1ずつです。
➊移住の相談事例
⑴仕事の主な相談
『これまでのスキルを活かした仕事がしたい』
仕事で実現しているのは、自営やフリーランスとして飲食店、カフェ、デザイナー、農業などを営んでいる事例です。
一方、企業への転職は苦戦しています(テレワークへの対応など)。
⑵住まいの主な相談
『せっかくの田舎暮らし、自分らしく暮らしたい』
戸建てを希望する方には「空き家バンク」などをご紹介しています。
⑶その他の相談
『実家で暮らす親の介護や子育て環境を考えたい』
街のことなどをご案内しています。
➋二拠点居住の具体的な事例
結婚を機に二拠点居住、足利の野菜を食材に
1.【東京・南青山のシェフ】
東京・南青山のレストランオーナーシェフのYさん。
結婚を機に、足利と東京の二拠点居住がスタートしました。
足利では実家の畑で野菜を生産し、足利産の食材を都内のレストランで提供しています。
都内でのプロモーションイベントや市内保育所での食育講座などにもご協力いただき、平成31年に「あしかが輝き大使」を委嘱しました。
昨年は足利の地元の食材を活用した新メニューを考案され、「あしかがヌーボー」というブランドを立ち上げていただいています。
⇒ 2021年住みたい田舎ランキング発表!シニアは西条市、豊後高田市等がトップ
二拠点居住を経て移住へ、マルシェも主催
2.【アンティークバイヤー】
東京にいた頃、ヨーロッパでアンティーク家具などを買い付け、イベントやオンラインでの販売を行っていたSさん。
Sさんは商品の保管場所として、また修復作業で音が出ることから、周りに気を使わずにできる作業場所や暮しを求め、地方の拠点を探していたそうです。
足利と東京の二拠点居住を経て、現在は足利へ移住されました。(→「トライアルステイ(お試し居住)」とは?)
足利に関わりたいとのお申し出があり、足利学校周辺でのマルシェ(市場)の企画・開催をお願いしています。
⇒ 【デュアラーを目指す高齢者向け】東京都民が二拠点居住(二地域居住)したいエリアランキング
コロナ禍で東京を脱出、土いじりの暮しへ
3.【里山の家庭菜園に憧れる弁護士】
東京都内で弁護士事務所を営むMさん。
コロナ禍のなか、家庭菜園のできる里山での土いじりの暮らしに憧れたそうです。
いま名草里山地区の戸建てを借りて、東京と足利の二拠点生活がスタートしました。
地域の方が農機具を貸してくださっています。
⇒ 【高齢者の関心呼ぶ二地域居住】谷口教授が提言「地場産品の購入など街を知ることから始めましょう」
授業がオンライン化、フィールドワークを求めて
4.【地域活動の場を探す大学生たち】
コロナ禍で授業がオンラインになったことで、フィールドワーク(野外調査)の場所を探す学生さんたちが増えています。
大学生の学び方が変わってきたようです。
足利市では都内などで大学生活を送る若者たちを積極的に受け入れ、地域を体験する活動を支援。
住民とともに活動する「地域おこし協力隊」(まちなか、映像のまち、里山、アート等)が、コーディネーターとしてお迎えしています。
本記事と画像の出典:柏瀬 誠氏のプレゼン資料「移住定住・関係人口創出の取り組みについて」
⇒ 東京と福岡でデュアルライフ。デュアラーから学ぶ「変化についていく大切さ」【二地域居住インタビュー】
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【編集部コメント】
コロナ禍でのテレワークの普及もあり、二地域を拠点に生活する「デュアラー」が増えています。
デュアラーや二地域居住について、今話題の『デュアラー』とは?『二地域居住』について詳しく解説!の記事でまとめています。
⇒マツコも羨むライフスタイル「デュアラー」(二拠点生活者)ってどんな暮らし?
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