コロナ禍でテレワークが普及するとともに、都市部から地方や郊外へ移住する人たちが増えていますが、東京在住の会社員はなんと2人に1人が移住に興味があることが、今月発表された調査結果で明らかになりました。
「そんなに多いとは意外」といった声がSNS等でも上がっています。
ところが、移住に関心はあるものの、テレワークを今後も継続できるのかという不安感が移住を決断できない最大の要因であることも、今回の調査で分かったのです。
コロナ禍2年目を迎え、これからの企業の対応も問われています。詳細を見ていきましょう。
東京は出たいけど、テレワーク廃止を懸念
今回の調査はメディア大手のリクルート(東京・千代田区)が8月中旬、東京都在住の20歳~59歳の会社員約2500名を対象に、地方・郊外への移住に関する考え方を(インターネットで)尋ねたものです。
調査結果の概要は次の通り。
【地方・郊外移住の意識調査で分かったこと】
➊移住に興味のある会社員(東京都在住)は、約2人に1人(46.6%)と多数に上った
➋但し、移住したい街は、4人中3人(75.1%)の圧倒的多数が「都心まで2時間以内で行けるところ」
➌移住を考えたキッカケは、「テレワークなど柔軟な働き方が可能になったため」が最多(43.4%)
➍移住の時期は、「わからないが、将来的に実現したい」が最多(46.5%)
➎不安な点は、テレワークを続けられるかなど「仕事面」が最多(64.0%)
移住したい街は「都心まで2時間以内」
以上5点の詳しい内容を見ていきましょう。
〈1〉移住に興味のある会社員(東京在住)は、2人に1人(46.6%)と多数に上った
〈2〉但し、移住したい街は、4人中3人(75.1%)の圧倒的多数が「都心まで2時間以内で行けるところ」
46.6%もの人たちが「移住に興味がある」と回答しました。
〈「とても興味がある」11.5% +「興味がある」35.1%〉
「興味がある」という1,156人が想定している都心までの所要時間は、「都心まで1時間から2時間」が43.3%、「都心まで1時間程度以内」が31.8%でした。
⇒【高齢者のテレワークに】デュアラー(二地域居住者)の新たな働き方『ビヨンド副業』とは
〈3〉移住を考えたキッカケは「テレワークなど柔軟な働き方が可能になったため」が最多(43.4%)
移住に興味がある人に、検討のきっかけとコロナ禍との関係について質問しました。
「コロナの影響で、テレワークなど柔軟な働き方が可能になったため」が最多(43.4%)でした。
時間や場所を選ばない働き方の浸透が、人々の住まいへの意識に影響しているようです。
〈4〉移住の時期は「わからないが、将来的に実現したい」が最多(46.5%)
いま取り組んでいる内容については、「すでに移住先が確定していたり、実際に候補の地域を訪れている」が15.0%。
最多の回答は「情報収集を進めている」{26.6%)でした。
⇒ テレワークになったら住んでみたい街ランキング 発表!コロナ禍で移住したい街は?
テレワーク継続に不安、移住をためらう
〈5〉不安な点は、テレワークを続けられるかなど「仕事面」が最多(64.0%)
移住への不安や心配事で最も多かったのは仕事面(64.0%)、次いで経済面(56.7%)、環境面(47.6%)、住宅面(42.2%)でした。
時間や場所を定めない働き方求める
【不安や心配事に関するコメント】
▽転職なしで地方移住の場合
「コロナの心配がなくなったとき、テレワークがなくならないか不安です」
「完全テレワークでないと、移住先は近郊しか考えられません」
▽転職ありで地方移住の場合
「給与や働き方の面で、希望通りの仕事があるかどうか不安です」
「夫はテレワークですが、私はそうではないので、移住先で仕事が見つかるかどうか心配です」
⇒【シェアハウス紹介】大阪駅近くの好立地、テレワークや観光等で二地域居住者たちが支持!
afterコロナ、企業のあり方問われる
リクルート社の藤井 薫氏(HR統括編集長)は、今回の調査結果を踏まえてこうコメントしています。
コロナ禍2年目の働く人たちの本音、移住に対する希望と不安は、次の声に集約されると思います。
「自分の好きな暮らしができる街で、好きな仕事・キャリアをデザインしたいが、コロナ禍が沈静化した後のテレワーク廃止や出社再開が心配で、地方移住を逡巡している」
テレワークの浸透で、多くの人が好感した「時間や場所を選ばない働き方」。
企業はテレワークの廃止・出社再開により、働き方・生き方の選択肢を狭めないでいただきたい。
いま、afterコロナを見すえた企業のあり方が問われているのではないでしょうか。
本記事と画像の出典:㈱リクルート 公式サイト
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【編集部コメント】
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