50歳以上のインターネット利用動向を分析したレポートがこのほど発表され、注目を集めています。
シニア層でもネットの利用時間がテレビを超えたほか、娯楽志向の強い若者世代と異なり、シニア層は情報収集のためにネットを利用していることなどが明らかになったからです。(→「デジタルシニア」とは)
詳細を見ていきましょう。
ネット利用率が70代で7割、80代も6割へ
今回50歳以上のネット利用動向の分析を手がけたのは、マーケティングリサーチ事業最大手のマクロミル(東京・港区)です。
市場調査のプロがまとめたレポートについて、その骨子をお伝えします。
■トピックス
1.ネットの利用時間がテレビを超えた
2.VOD(ビデオ・オン・デマンド)とSNSの利用が増える
YouTubeの利用時間が1年半で1.5倍へ
3.ネットは娯楽よりも情報収集のために利用
4.ネットの必要度がテレビに迫る
今後の利用意向が高いのはLINEとYouTube
❑近年のネット事情~シニア層にも広く普及
近年インターネットの利用率は大きく増加していますが、これは特に60代以上の利用率が伸びたことによるものです。
年代別に見ると、2019年に60代は9割に達し、50代以下の世代とほぼ変わらない利用率になりました。
70代についても約7割、80代以上も約6割と過半数が利用しています。
シニア層にもネットが広く普及してきたのです <図1-1参照>。
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❑今回の分析結果
1. ネットの利用時間がテレビを超えた
50歳以上のメディアの利用頻度(2020年下半期)は、テレビ(6.6日/週)、ネット(5.3日/週)、新聞(4.2日/週)、ラジオ(2.0日/週)という結果でした。
テレビとネットが日常的に利用されていることが分かります。
また、ネットについてはパソコンからの利用が5.4日/週、スマホからの利用が5.3日/週でした。
1日当たりの利用時間は、ネット(3.3時間/日)がテレビ(3.2時間/日)をわずかに上回っています。
2. YouTubeの利用時間が1年半で1.5倍へ
アプリのカテゴリーごとに利用率を見ると、高いものから「Movie」「SNS」「News」「Music」「VOD」という結果でした。
いずれも2019年7月~2020年12月の1年半で増加しています。
この1年の利用率の増加を後押ししたのは、VODでは「Netflix(+1.0Pt)」と「Amazon Prime(+0.9Pt)」、SNSでは「Instagram(+4.2Pt)」と「LINE(+2.6Pt)」「Twitter(+0.9Pt)」でした <図2-2参照>。(→「SNS(エスエヌエス)」とは)
利用時間については「YouTube」の伸びが目立ちます。
2019年7月は179分/月、2020年12月は280分/月ですから、1年半で約1.5倍も増えています <図2-3参照>。
3. ネットは娯楽よりも情報収集のために利用
利用時間が大きく増加したYouTubeの利用目的は、1位「自分の趣味や興味に合う情報を得るため(48.8%)」、2位「暇つぶし(43.4%)」、3位「特定の分野で専門的な知識を持つ人の情報を得るため(20.3%)」でした。
20~40代は「娯楽目的」が多いのに対し、50代以上は「情報収集目的」が多かったことが大きな特徴です。
4. 今後の利用意向が高いのはLINEとYouTube
メディアごとの必要度を質問したところ、「テレビ」の8割強に対し「ネット」は8割弱、「新聞」は6割を下回りました。
「ネット」は「テレビ」と同じくらい必要とされ、メディアの中でも高く位置付けられています。
主なネットメディアについて今後利用が増えるかどうか尋ねると、「LINE」と「YouTube」がともに最も高いという結果でした。
50歳以上の4人に1人が増えると答えています。
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■今回分析に使用したデータ
⑴アプリログデータ
分析対象:全国50~69歳の男女
有効回答:15,509名(2020年12月)
⑵アンケートデータ
調査手法:インターネットリサーチ
調査対象:全国20歳以上の男女
有効回答:1,974名(50歳以上907名、一般1,067名)
調査期間:2020年12月4日~8日
出典:㈱マクロミル プレスリリース
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