第7回「老後の生活費は準備していますか」
4ヵ国の高齢者2800人との面談(国際比較調査)で分かったことは?
「日本と外国では、高齢者の生活意識はどのくらい違うんだろう」。
そんな問題意識を持って、国が長年にわたり調査しています。
内閣府が1980年から5年ごとに実施している「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(全8回)です。
最近(2015年度)では日本とアメリカ、ドイツ、スウェーデンの4ヵ国を対象とし、60歳以上の男女2800人(施設入所者除く)に個別面談でさまざまな問題について聴いています。
本連載記事の第7回は、〝老後の生活費の準備〟をめぐる日本と欧米の考え方の相違について見ていきましょう。
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なぜ日本は、老後の生活費が足りないのでしょうか?!
A.老後の生活に備えて行ったことはありますか
「老後の生活費は何も準備していない」が、日本は4 割で断トツのトップ
「50 代までに、老後の生活に備えて行ったことはありますか?」と尋ねました。
日本とアメリカは「預貯金」「個人年金への加入」が多く、ドイツは「預貯金」「不動産取得」、スウェーデンは「個人年金への加入」「債券・株式の保有、投資信託」が多かったです(グラフA参照)。
そして、「特に何もしていない」という高齢者が、日本は42.7%と断トツでトップだったことが今回の調査で明らかになりました(他の3ヵ国は20%台にとどまる)。
<グラフA> 老後の生活費に対する備え(複数回答)
B.現在の貯蓄や資産は、老後の備えとして十分ですか
貯蓄や資産が足りない高齢者、日本が57%で最多!
「現在の貯蓄や資産は、老後の備えとして十分ですか?」と聞きました。
「十分」と「まあ十分」の合計は、スウェーデンが72.7%、アメリカが68.8%、ドイツが66.3%という割合の一方で、日本は最も少ない37.4%。
そして、貯蓄や資産が老後の備えとして足りないと考える高齢者は、日本が57.0%と最も多かったのです(「やや足りない」と「まったく足りない」の合計)。
以下、アメリカ24.9%、スウェーデン18.9%、ドイツ18.0%と続き、日本とは大きな開きがあります。
<グラフB> 老後の備えとしての現在の貯蓄や資産の充足度
【まとめ~日本の現実】若いときから老後を見すえ、準備を始めたい!
日本の高齢者が50代までに行った老後の備えとしては、「預貯金」や「個人年金への加入」が上位に上がっています。
そして、約4 割が「特に何もしていない」のは前述の通りです。
また5割超が、現在の貯蓄や資産が老後の備えとして「足りない」と考えています。
「若いときから老後を見すえ、準備を始めておくことが大切」
そうした結論が導き出されるのは確かなことでしょう。
<つづく>
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