第3回「ご近所や友人とお付き合いしていますか」
4ヵ国の高齢者2800人との面談(国際比較調査)で分かったことは?
「日本と外国では、高齢者の生活意識はどのくらい違うんだろう」。
そんな問題意識を持って、国が長年にわたり調査しています。
内閣府が1980年から5年ごとに実施している「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(全8回)です。
最近(2015年度)では日本とアメリカ、ドイツ、スウェーデンの4ヵ国を対象とし、60歳以上の男女2800人(施設入所者除く)に個別面談でさまざまな問題について聴いています。
本連載記事の第3回は、友人・知人との交流をテーマに4ヵ国の実状を比較するとともに、日本の高齢社会の課題について考えてまいります。
なぜ日本の高齢者は友だちが少ないのだろう
A.近所の人とはお付き合いしていますか?
「病気の時に助け合う」は日本が大差で最下位
「ふだん近所の人とは、どのようなお付き合いをしていますか?」と尋ねました。
日本、アメリカ、スウェーデンで最も多いのが、「外でちょっと立ち話をする程度」のお付き合い。
一方、ドイツでは「お茶や食事を一緒にする」など深く付き合う人たちが最多でした。
「相談したり、相談されたりする」人たちはドイツ48.3%、スウェーデン31.2%、アメリカ28.3%、日本18.6%という順番で、ここでもドイツがトップ。
また、「病気の時に助け合う」人たちはドイツ31.9%、アメリカ27.0%、スウェーデン16.9%、日本5.9%に。
どちらも最下位が(しかも大差で)日本だったという残念な結果になりました。
B.相談し合う親しい友人はいますか?
日本の高齢者は、4人に1人は親友がいない?
「家族以外の人で相談し合ったり、世話をし合ったりする親しい友人はいますか?」と尋ねました。
ちょっと寂しい話ですが、「いずれもいない」と答えた人は日本が25.9%と断トツで1位の国でした。
次いでドイツ17.1%、アメリカ11.9%、スウェーデン8.9%と続いています。
【編集部より一言】もっと地域のコミュニティに参加を促したい!
日本では一人暮らしの高齢者世帯がますます増えているのはご存じの通りです。
2016年には高齢者のいる世帯のうち、27%を占めるまで上昇しています。
こうした中、今回の国際比較調査で浮き彫りになったのは、やはり日本の社会が「人との距離が遠い国民性」「孤独に暮らす高齢者の多い国」といった内外のイメージ通りの状況だったことです。
前述のように、近所の人との付き合いにおいて「相談する」「病気の時に助け合う」人たちの割合は4ヵ国で最低の水準。そして「相談や世話をし合ったりする友人はいない」という人たちが最も多い国。
日本ではここ数年、「無縁社会」や「孤独死」という言葉が話題になっています。
そんな社会環境を改め、高齢者が〝地域社会から孤立しない〟ようにするため、何かできることはないのでしょうか。
例えば、もっと地域のコミュニティに参加してもらうための取り組みもその一つだと思います。
<つづく>
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