125万部のベストセラーとなった「おひとりさまの老後」から14年。
著者の上野 千鶴子氏(社会学者、東京大学名誉教授)が今年1月に刊行した『在宅ひとり死のススメ』が早くも15万部を超え、話題を呼んでいます。
「おひとりさまでも、認知症でも大丈夫。慣れ親しんだ自宅で、自分らしい幸せな最期が迎えられます」
そう提案している上野さんの死生観などについて、詳しく見ていきましょう。
自宅で幸せな最期を迎える方法とは
上野 千鶴子さんはこう話しています。
『わたしには家族がいませんので、基本、ひとりで暮らしています。
現在72歳。このまま人生の下り坂をくだり、要介護認定を受け、ひとり静かに死んで。
ある日、亡くなっているのを発見されたら、それを「孤独死」とは呼ばれたくない。
それが今回執筆した動機です』
■本書にはこんな内容が盛り込まれています(一部抜粋)。
〇「孤独死」あらため「在宅ひとり死」へ
〇慣れ親しんだ自宅で、自分らしい最期を迎えるしあわせ
〇ウエノが徹底取材!「おひとりさまの最期」最新事情
〇医師、看護士、介護士、看取り士をコーディネートする方法
〇「施設」に入れたがるのは、本人ではなく家族
〇ずばり、家で死ぬために必要な費用はいくらか
〇「老後の幸せ度」はおひとりさまと大勢家族が高く、老夫婦ふたりが低い
〇たとえ認知症になっても「在宅ひとり暮らし」で問題がない理由
〇介護保険をどう活用すべきか
⇒ 高齢者の一人暮らし、iPadとウェブカメラを購入しビデオ通話という選択
「介護される知恵」を皆で分かち合う時代へ
上野さんは「ホンネをいうと」と前置きし、「私は生きている間のことにしか、関心がありません」として本書にこう記しています。
『死後の世界などまっぴら。葬式やお墓などの「終活」にも、何の関心もありません。(→「終活」とは)
葬儀は密葬で、遺骨は散骨してほしい、と遺言状には書いてありますし、遺言執行人も指名してあります。
散骨場所は国内某所、たいしてめんどうな場所ではありません。
そのくらいのことを頼める友人もいますし、少々の迷惑をかけてもいいでしょう』
その一方で、上野さんは『とはいえ、それまでにたどる時間が、相当長そうです。(中略)わたしもあなたも、かなりの確率で長生きしそうです』として、長寿社会の生き方についてこう提案しています。
『み~んな(要介護の)当事者になって、「介護される知恵」を分かち合う時代がすぐそこまで来ています』
上野さんは本書の役割について、(人生の)次のステップを考える手がかりにしてほしい、と綴っています。
人生の次のステップを考える手がかりに
【高齢者におすすめの新刊本】
書名:「在宅ひとり死のススメ」
著者:上野 千鶴子
出版社:文藝春秋
定価:880円(税込)
発売日:2021年1月20日
ページ数:新書判 216ページ
❑文藝春秋YouTubeチャンネルはこちら(本書の紹介動画)
■著者略歴
上野 千鶴子(うえの ちづこ)
1948年富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。
認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長。
東京大学名誉教授。
本記事と画像(表紙)の出典:文藝春秋 公式サイト
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