【高齢期の住替えを考えるVol.3】要介護の親を呼び、近くで暮せませんか?

高齢者向け住宅や老人ホーム等の募集・契約を手がける株式会社イチイ シニア事業部。
当事業部からの投稿文「高齢期の住替えを考える」を連載でお届けいたします。

【今号のキーワード】
「仙台まですぐに駆けつけるのは難しいですね。父には私の家の近くで暮らしてほしいと思っています」

第3回『要介護でどこに住む?すれ違う親と子の思い』

❑高齢期の住まいと暮らしを専門とする「専任アドバイザー」(㈱イチイ シニア事業部在籍)に執筆してもらいました。

子世代の皆さん、介護が必要な親の住まいはどうしますか?
もしも自分の親が“介護の必要な状態”になったとしたら、まず何をすればいいのでしょうか。

今年1月にご相談のあったSさん(58歳・女性、東京・北区在住)とお父さま(89歳)のケースをご紹介します。

故郷から突然の電話「お父さまが病院へ搬送され・・」

お父さまは妻に先立たれ、仙台市内の自宅で一人暮らし。
娘のSさんは突然の仙台からの電話に驚かされました。

「先ほどお父さまが散歩の途中、転んで大けがをして、病院に搬送されました。骨折の治療でしばらく入院することになりそうです」

Sさんが東京から仙台まで大急ぎで駆けつけたことは言うまでもありません。

幸い命に別状はなく、安堵しましたが、その後の経過についてはリハビリも順調。
3ヶ月を経て無事に退院することができました。

40年暮らした仙台を離れたくない!

そして、このときお父さまもSさんも「どうしたらいいのだろう」と悩んだのが、これからの生活のことです。

今回のケガを機に“要介護1”の認定を受けたお父さま。
また同じように仙台で一人暮らしを続けるのか、それとも東京のSさんの自宅近くに転居するのか、という二者択一で考え始めました。

Sさんは一人娘ですから、お父さまに何かあれば、すぐに自分が寄り添ってあげたいと思うのは子どもの心情として当然でしょう。
しかし、Sさんは東京でご主人や子どもたちと家庭を築き、毎日家事をこなす一方で、仕事にも就いています。

「仙台まですぐに駆けつけるのは難しいですね。父には私の家の近くで暮らしてほしいと思っています」

ところが、お父さまはまったく違う考えでした。

「40年近く住んでいる仙台には友人が多いし、思い入れもあるので離れたくないな。今の自宅をバリアフリーなどに改修すれば、まだまだ住み続けられるはずだ
(→「バリアフリー」とは?|おとなの住む旅 用語解説

思い切って娘家族に近い高齢者向け賃貸へ

東京・北区の高齢者向け賃貸住宅

それでも、お父さまとSさんが決めた住まいは、東京・北区の高齢者向け賃貸住宅でした。

お父さまの不安をやわらげるため、3ヶ月間の“お試し入居”ができる物件を選定
東京での生活がなじめなければ、いつでも仙台に戻れるようにして、ハードルを下げたわけです。

高額な入居金が必要な利用権方式の高齢者施設と異なり、賃貸住宅の場合は気軽に入居も退居もできるところがメリットといえます。

現在お父さまはほぼ毎日、近くのSさんの家で一緒に夕食をとっているそうで、それが楽しみなご様子。
東京での生活にすっかり満足されているお父さまです。

次号「高齢期の住替えを考えるVol.4」では今号とは対照的に、自宅に住み続けたいというお母さま(87歳)の気持ちを尊重した娘さん(57歳)の思いをご紹介します。

【今号のまとめ/ご相談者が選んだ住まい】
自立型の「サービス付き高齢者向け住宅」
この記事の問合せ先:株式会社イチイ 電話03-5925-8851 <→ シニア事業部の専任アドバイザーたち(写真付き)

■データ編~トレンドを読む

「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の供給戸数<都道府県別>」

出典:一般社団法人 高齢者住宅協会

8年で25万戸供給、全国へ拡大

高齢者の新たな住まいとして注目される「サービス付き高齢者向け住宅」(通称:サ高住)。
高齢の単身・夫婦世帯が安心して居住できる賃貸住宅として、行政が法律(高齢者住まい法)に基づき認定しているのがサ高住です。
(→「自立型サ高住」とは?|おとなの住む旅 用語解説

2012年3月に3万戸余りだった戸数が、今では全国に約7600棟・25万6千戸(今年6月現在)供給されました。
制度創設から8年で急拡大しています。

入居者にとっては、利用権方式ではなく賃貸借方式で契約するため、多額の入居金が不要なことや、入居者に居住の権利がある(たとえば病院のように、居室の移動を指示されることがない)ことが大きなメリットです。



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