
地域住民や関係機関、民間企業が連携して高齢者の生活状況を見守る地域見守りが近年増えています。今回ご紹介するのは日本生活協同組合連合会(以下、生協)と自治体が進めている「地域見守り協定」の最新締結状況です。生協の取り組みを見てみましょう。
→【宅食で見守り】行政&宅食会社が提供!地域連携型「高齢者の見守りサービス」
全国47都道府県内の自治体・社会福祉協議会との「地域見守り協定」について
生協は、2025年3月末現在で全国47都道府県内の自治体・社会福祉協議会などと「地域見守り協定」を締結しています(地域・職域・医療福祉生協計)。締結市区町村数は1,308に達し、これは全市区町村数(1,741)の75.1%に当たります。県内全市区町村と締結したのは、青森県、岩手県、宮城県、茨城県、千葉県、埼玉県、富山県、石川県、福井県、岡山県、鳥取県、山口県、徳島県、佐賀県の14県です。
さらに生協は、宅配事業を通じた日常的な組合員とのコミュニケーションを生かし、福祉の視点を取り入れたさまざまな事業や活動も展開しています。生協職員の認知症サポーター数は53生協で5万869人となりました(2025年3月末現在)。地域のくらしの安全、消費者行政の推進、食育や子育て、環境保全など、さまざまな分野での連携を含んだ「包括連携協定」、地域活性化に関する協定や教育機関との協定など、多様なテーマで地域の組織との連携が広がっています。
厚生労働省の発表によると、2040年には認知症高齢者数が584.2万人、軽度認知障害(MCI)高齢者数は612.8万人を超える見込みとのこと。このことからも分かるように、地域全体で高齢者を見守る体制の整備は必要不可欠といえます。
※軽度認知障害(MCI):もの忘れなどの軽度認知機能障害が認められるが、日常生活は自立しているため、認知症とは診断されない状態。
生協の「見守り活動」による通報・連絡までの流れ
生協の「見守り活動」による通報・連絡は以下のとおりです。
生協の「見守り活動」では、地域配送センター長が地域宅配担当者からの一報を受けると、緊急時対応を判断し、管轄する地域包括支援センターや行政などへの連絡を行います。ただし、緊急の場合は、地域宅配担当者から消防・警察に直接連絡する場合もあります。日頃の宅配を生かすことで迅速な対応が可能となるのです。
生協の見守り活動で助かった事例
2023年度の「見守りを通じた対応事例」は、東京都内の実績224件の中で「救急車搬送による救護活動」は65件(29%)、「転倒や体調不良等で救急車の要請には至らない救護、認知症の徘徊の疑いでの保護、引き続き見守りにつなげた事例」は93件(42%)、「死亡での発見事例」は25件(11%)でした。「安否確認の結果、入院・入所」は21件(9%)、「外出中」など20件(9%)で、合わせて18%の無事が確認できています。
救急搬送や死亡発見事例では、配達職員の「何か気になる」という異変発見のアンテナの高さで、一度は現場を離れても再訪問したり、地域包括支援センターに安否確認を依頼して発見につながったケースもあります。配達先や配達途中の路上、店頭などで、組合員以外の救護事例が71例あり、うち21例は救急搬送を要請し救命に関わる救護が行われました。以下、事例です。
・いつも在宅の方が、明るい時間に家の中の電気がついており、違和感を覚えたので地域包括支援センターに引き継いだところ、自宅の中で倒れていたのを発見し救急搬送されました。
・道路を歩いていた高齢者が転んで頭から出血したところに遭遇し、救護しました。
このように、生協の「見守り活動」は、生協の組合員に限らず地域全体の見守りに貢献しているのです。
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