コロナ禍では二地域居住や拠点を複数持つマルチハビテーションが普及し、「おとなの住む旅」でも実践者の声をご紹介してきました。この2つは元気なシニアの間でも広がっていますが、現役ビジネスパーソンの間ではワーケーションのほうが広がっているようです。
ワーケーションは自宅で仕事ができるフリーランスと親和性が高い滞在スタイルでしたが、コロナ禍で会社員もワーケーションに注目するようになりました。実際にやってみた人がいる一方で、いまだできていない人もいるようです。認知が高まった状況下でビジネスパーソンはワーケーションに対してどう思っているのでしょうか。
そこで今回は、現役ビジネスパーソンに実施した「ワーケーションの意識調査」をご紹介します。
現役ビジネスパーソンに聞いた「ワーケーション」意識調査
現役ビジネスパーソンのワーケーション認知度は7割超え!
総合転職エージェントの(株)ワークポートが実施した「ワーケーション」の認知度や経験などに関するアンケート調査(現役ビジネスパーソン509人、20代~40代を対象)によると、「言葉も意味も知っている」と回答した人が51.9%、「意味は知らないが言葉を見聞きしたことがある」が24.0%という結果に。「知っている」と回答した人が75.9%に上りました。ワーケーションがビジネスパーソンの間で知られていることがよくわかります。
企業はどうなの? 企業のワーケーションに対する理解について
では、企業側はどうなのでしょうか。対象者全員に現在の勤務先(離職中の人は直近の勤務先)はワーケーションが許可されているかどうかを聞いてみると、79.0%が「許可されていない」と回答。「わからない」と回答した人は13.2%、ワーケーション制度がある企業は7.9%のみという結果でした。
勤務先にワーケーション制度はないと回答した人に対して、もし勤務先にワーケーション制度があった場合、現職の状況に関係なく利用してみたいか質問すると、半数を大きく超える76.1%が「利用してみたい」と回答しました。
一方で、ワーケーション制度があると回答した人に制度を利用したのかを聞いたところ、「ない」と回答したのは72.5%、「ある」と回答した人は27.5%でした。制度があっても利用しない理由として、下記の声が寄せられました。
「職務上難しいため」(30代・システムエンジニア・埼玉県在住)
「周りに使った人がいないから」(20代・管理系・東京都在住)
「制度を利用できる雰囲気がないため」(40代・営業・神奈川県在住)
「魅力がなかったから」(30代・管理系・東京都在住)
「特に必要性がなかったから」(40代・企画・神奈川県在住)
「コロナウイルスの流行のため、自宅外で働くメリットがないから」(40代・企画・茨城県在住)
「プライベートと仕事を分けたいため」(30代・管理系・東京都在住)
魅力を感じないなどの意見はさて置き、利用したくても利用しない理由として多いのは職場の雰囲気にあるようです。
リモートワークはOK、でもワーケーションはまだまだ浸透せず
さらに、対象者全員に現在の勤務先(離職中の人は直近の勤務先)でリモートワークが許可されているか聞いたところ、可能な企業は46.2%でした。リモートワークとワーケーションの両方が許可されている企業は1割未満の7.5%のみという結果に。政府がワーケーションを推奨する一方で、企業のワーケーション制度が整わない現状が浮き彫りになりました。
ワーケーションを推奨している企業に働きたいビジネスパーソンはなんと8割!
対象者全員に「ワーケーションが推奨されている企業で働いてみたいか」、また、現在ワーケーション推奨企業で働いている人は「これからも推奨企業で働きたいか」を聞いたところ、81.5%が「働いてみたい」と回答しました。ワーケーションに惹かれている人の多さと同時に、ワーケーションに対する理解度が企業の魅力に結びついていることがわかる結果となりました。
優秀なビジネスパーソンを確保するためにもワーケーション制度は効果的か
コロナ禍では冒頭で述べたように、二地域居住やマルチハビテーションなど定住しないライフスタイルが広がりましたが、企業側もこの流れを汲んで社員が場所を選ばずに働ける環境づくりをすることが今後求められそうです。また、働き方に柔軟性がないと転職をする人も増えていく可能性も高まっているといえます。良い人材を確保するためにも、ワーケーション制度を設けることは今後当たり前になるかもしれませんね。
今後も「おとなの住む旅」では、企業とワーケーションに関する情報をはじめ、ワーケーションの普及状況をお伝えしていきます。
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