希望すれば70歳まで働けるようにする「改正高年齢者雇用安定法(70歳就業法)」が先月1日に施行され、企業には70歳まで就業機会を確保するよう努める義務が課されています(詳細は4月6日配信の記事参照)。
施行から約2ヵ月が経った本日、高齢者の就業の実態に関する調査結果が発表され、定年後の再雇用では年収が平均44.3%減となっていること、再雇用後も過半数は職務が変わらないことなどが明らかになりました。
今、意欲のある高齢者を活用したいという企業は増えていますが、果たして働く側のモチベーションは上げられるのでしょうか。
再雇用後、過半数は職務が変わらない
この調査データは「シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査」。
シンクタンク・コンサルティング事業大手のパーソル総合研究所(東京・千代田区)が今年1月初旬、全国3千人のシニア従業員などを対象に実施し、5月28日に発表したものです。
今回は、働く高齢者に関わるテーマを中心にご紹介しましょう。
➊定年後再雇用者の年収や職務に変化はありましたか?
定年後の再雇用による年収の変化について聞いたところ、約9割の人は年収が下がっていました。
(定年前とほとんど変わらない人は8%、定年前より上がった人は2.2%)
その年収の金額については、平均で44.3%も下がっていたのです。
詳しく見てみますと、50%程度下がった人が22.5%、50%以上も下がった人が27.6%と、再雇用者のうち約5割の人は年収が半分以下でした。
次に、再雇用者に職務の変化について聞いたところ、過半数の人が「ほぼ同様の業務」と回答。
そう回答した人たちも、年収が平均39.3%下がっていたのです。
このような実態について、今回の調査報告書では「同一労働同一賃金やシニア人材のモチベーションの観点から、問題ではないか」とコメントしています。
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60代は「より高い年齢まで働きたい!」
➋何歳まで働きたいですか?
いつまで働き続けたいかについて50代と60代に分けて回答を集計したところ、60代の方が「より高い年齢まで働きたい傾向が強い」ことが明らかになりました。
しかし、「71歳以上、生涯働けるまで」との回答は50代で12.1%、60代で13.1%とほぼ変わりません。
70歳まで就業機会が確保されることで、約9割の高齢者は働きたいというニーズが満たされることも分かりました。
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➌いま定年は何歳ですか?
所属先の企業が定めている定年の年齢について聞いたところ、「60歳」との回答が約7割でした。
次いで多かったのが「65歳」で約2割。「定年なし」は3.4%にとどまっているのが現状です。
本記事と画像の出所:パーソル総合研究所「シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査」
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