コロナ禍ではさまざまな物事に対する価値観が大きく変わりました。シニア世代が一度は考える終活もその一つです。激動のコロナ禍を経てシニア世代は終活についてどのように考えているのでしょうか。
女性誌「ハルメク」をグループで発行する(株)ハルメクホールディングスの「ハルメク 生きかた上手研究所」は、(株)ハルメクエイジマーケティングと合同で、50~79歳の男女2,000名を対象に「終活に関する意識調査」をWEBアンケートにて実施しました。シニア世代の終活に対する意識の変化を見ていきましょう。
シニアが感じる「終活の必要性」、男女別ではどう変わる?
はじめに、終活の実施状況からシニアの終活に対する必要性を調べました。2023年調査と前回の2021年調査の結果を以下のとおりです。
2023年調査では「終活は必要だと思う」人は全体の76.8%でした。しかし、「終活をすでに始めている」人は全体の39.2%という結果に。2021年調査と比べると、全体構造は変わっていません。しかし、2023年調査で「終活は必要と思う」割合が、2021年調査と比較すると減少しています。2021年調査は78.4%、2023年調査は76.8%で1.6ポイント減少です。
一方で、「終活は必要ないと思う」割合は増えています。2021年調査では21.6%、2023年調査では23.2%と1.6ポイント上昇しています。
男女別に見ると、男性は終活をすでに始めている人の割合は2021年調査の31.4%から2023年調査は35.3%と、3.9ポイント上昇。女性は、2021年調査の37.7%から2023年調査は43.1%と、5.4ポイント上昇しています。シニア女性のほうが終活の必要性を感じる人が増えました。
シニアの「すでにやり終えた終活」、最も多いものは何?
次に、「すでにやり終えた就活」について調査しました。死後の準備である「お墓の準備」「葬式の準備」は、2021年調査と比較して「すでにやり終えた」人の割合が減少しています。特に「お墓の準備」は10.9ポイント減少。年齢別の調査では差異は見られず、全体と同傾向です。
「加入保険の整理」「家具や家の中の荷物整理・処分」「金融口座・金融商品の整理」等は、2021年調査と同様にTOP10入りしましたが、1.6~4.0ポイント減少しています。
今回の調査から入れた項目「健康習慣の開始・見直し」は21.6%、「投資信託、株式投資など資産運用をはじめる」は20.3%と、財産や家の整理・処分より高い割合となりました。
モノ・コト・おカネ、「シニアが終活で家族に最も遺したいもの」は何?
では、シニアは家族に何を遺したいのでしょうか。前提として、遺すのか遺さないのかについて聞いてみると、コトは87.4%、モノは78.1%、おカネは62.9%の人が「遺すつもりがない」「遺すものがない」と回答しました。
「遺したい」と回答した人のうち、「モノ」「コト」より「おカネ」を遺したい人の割合が多く、全体の4割弱に及びました。また、おカネを遺すと回答した37.1%(743名)の平均金額は約3,127万円。これは、「今後の生活や自分の死後のことを考えて、遺したいと思う金額を総額で教えてください。」と聞き、回答された金額の平均です。
遺したい「モノ」「コト」では、金目のものや思い出、生きた証が目立っています。男女差では、男性は妻へ、女性は子供や孫へ感謝の気持ちを遺したいという自由記述が目立ちました。
シニアが希望する「お葬式の形式」「お墓の形式」について
お葬式はどの形式を望んでいるのでしょうか。最も多かった「家族葬」は男女差がありません。一方で「一般葬」は女性(3.5%)より、男性(7.6%)が倍以上の割合でした。「一日葬」「直葬」は男性より女性の割合が高いです。
お墓の形式については、4割弱が「まだ形式を決めていない」と回答しました。最も多かった形式は「一般的な墓」で、29.2%でした。男女別で見ると、男性よりも女性のほうが「海洋葬・山葬(散骨)」や「樹木葬(樹木の周辺に納骨)」と回答した割合が高いことが特徴としてあげられます。
以上、50~79歳の男女2,000名を対象に「終活に関する意識調査」でした。終活と一言で言っても、考えることは多岐にわたります。一気に考えずに少しずつ準備することが肝心です。
そこでおすすめなのがエンディングノート。シニア世代の住み替えや終活をレクチャーするシニアライフコーチ 佐藤順一郎氏は「エンディングノートは終活の第一歩」と話しています。何から始めればいいのかわからない人は、エンディングノートから始めてみるといいでしょう。
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