【中国問題専門家・西園寺 一晃氏の提言】米中対立の余波で増える訪日外国人、文化の衝突は平和的に解決できる

 

〈インタビュアー〉姜 春姫 | 在日華僑華人コンサルタント・中国語講師・通訳翻訳家

中国問題を専門とする東日本国際大学客員教授の西園寺(さいおんじ)一晃氏にインタビューし、新型コロナウィルス感染症が収束した後、再び訪日外国人は増えていくのか、日本人と外国人の共生社会の実現に必要なことは何か等について、さまざまな知見を聞くことができました。

国際化が進む日本社会と在留外国人の問題について、皆さんと一緒に考えていきましょう。

訪日外国人はこれから確実に増える

 日本にくる外国人は今後増えるのか減るのか、どうお考えですか。

西園寺 今は新型コロナウィルスの問題で一時的にストップしていますが、訪日外国人は中長期的に見れば、確実に増えていくでしょう。
それは次の4つの方面からだと思います。

⑴ 観光客

私の専門は中国で他の国のことはあまり知りませんが、中国には日本へ行きたいという人たちが潜在的には数千万人単位でいます。
コロナ収束後は多くの人たちが日本にやってくるでしょう。

⑵ 留学生

留学生はもともと増える傾向でしたが、最近は米中の摩擦があって、中国の若い人たちがアメリカにはなかなか行けなくなった。
そのため、日本シフトが始まると考えています。
米中の確執は長期化し、なかなか解決しないと思うので、結果として日本にくる人たちは増えていくでしょう。

アジアの事業家が日本にやって来る

⑶ 勤労者

働きにくる人たちも増えていきます。
いずれは日中あるいは日中韓のFTA(自由貿易協定)が締結できるでしょう。
そうすると物の移動だけではなく、人の交流も活発になり、働きにくる人たちが増える。
高度なITの人材から介護の人材まで多くの人たちが日本にきて働くと思います。
日本は少子高齢化で労働力が減少しています。
労働人口は中国が一番多いですが、アジア諸国から人々がやってくる。これが3つ目です。

⑷ 事業家

これまでは日本の会社が中国にどんどん出て行って、工場をつくったりしていました。
しかし、今後は中国あるいは東南アジアの国々が、日本で会社や連絡事務所をつくるといったケースが増えてくるでしょう。
これも結果論ですが、やはり米中の確執の中で、中国からアメリカへはなかなか進出できなくなった。
したがって、日本へシフトする動きが起こると思います。

この4つの方面のうち、観光客以外の人たちは日本で住む場所を探します。
日本の大学や会社は、寮などを完全には持っていません。ですから、自分たちで解決しないといけない。
あるいは会社や大学がアパートを借りて、そこに住んでもらうというケースがどんどん増えてくると思います。

外国人は日本文化を知り、日本人は外国人を尊重

 外国人には日本の文化をよく知ってもらう必要がありますね。

西園寺 日本には、郷に入っては郷に従えという言葉があります。
外国の人たちには日本のやり方、風俗、習慣などをきちんと知ってもらう必要がある。
同時に、日本側としては日本にくる人たちの文化を最大限に尊重しないといけない。
その両面で考える必要があると思います。

グローバルな往来は文化の衝突を伴う

 グローバルな往来は、おのずと文化の衝突を伴うのではないでしょうか。

西園寺 その問題については、日本は国として一つの戦略を立てるべきだと考えています。
それは単にアパートの管理規約を教えるだけではなくて、国として日本の文化や言語をもっと世界に発信していく。
日本の文化を知ってもらう中で、いろいろな日本の規定などをセオリー化していくべきでしょう。

多民族社会の平和的なシステムを

 仮に多民族社会になった場合、そうしたセオリー化の一つとして、トラブルを解決していく仕組みはつくれますか。

西園寺 これは個人や1団体ではできませんので、やはり国が中心になって、それから賃貸を含めた不動産業界あるいは観光業界、大学・高校つまり教育界を含めて一体となって、そうしたことを考えていく必要があるでしょう。
そういう中で、多民族社会が訪れたとしてもトラブルが少なくなるように、またトラブルが起きても平和的に解決できるようなシステムをつくっていく必要があると考えています。

〈インタビュアー〉姜 春姫(きょう しゅんき)
在日華僑華人コンサルタント・中国語講師・通訳翻訳家・亜三事務所代表

中国・天津市の南開大学を卒業。早稲田大学を経て東京学芸大学教育学部修士課程修了。大学卒業後、中日の通訳翻訳や語学講師を務めた後、1990年に来日。日本企業での勤務や語学講師の経験を活かし、グローバルな視点で、日本と中国の高齢者が直面する住まいや仕事、医療などの問題をめぐり積極的に社会へ提言。日本で暮らす外国人のさまざまな問題についても論じている。現在、日本と海外の新・生活情報サイト「グローバル医・職・住ラボ」にて定期的に執筆中。在日華人女性交流会会長などの要職も務める。

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