まさに「巨星落つ」という言葉が最もふさわしいでしょう。
昨年11月、作家で僧侶の瀬戸内寂聴さんが99歳で永眠されました。ご冥福を心よりお祈りします。
そして、半年が過ぎた今月中旬、お元気な頃の作家・林真理子さんとの対談等を収録した寂聴先生最後の著書『99年、ありのままに生きて』がリリースされました。
私たちに残してくれた、「人としての生き方」をはじめ先生の数々の言葉をいま、改めて振り返ってみたいものです。
瀬戸内寂聴の一生たどる決定版
今回の新刊本は、中央公論新社(東京・千代田区)が5月10日に発刊したもの。
次のような内容が収録されています。
36歳のデビュー間もない瀬戸内さんが恋愛を語ったエッセイ。
44 歳、京都への引っ越しの顛末。51歳、出家直後の独占手記。
そして99 歳、林真理子さんとの人生最後の対談―。
これまでに雑誌「婦人公論」に掲載されたエッセイや対談、評論などを厳選し、寂聴さんの一生をたどった決定版です。
寂聴さんは35歳のとき瀬戸内晴美の名で作家デビューすると、女性の生き方を描いた作品を次々と発表し、一躍人気作家へ。
その後、51歳で出家し名を寂聴に改めると、以後は作品や法話を通して、人々を「ことば」で導くようになりました。
大正・昭和・平成・令和の4つの時代をかけぬけて、「今、生きていてよかったと、つくづく思います」。
寂聴さんは本書の中でそう語っています。
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「最後の肉声」動画を公開
本書の発刊に合わせて、中央公論新社は今月14日、林真理子さんと語り合う寂聴さんの「最後の肉声」(動画)を公開しました。
2021年6月30日、京都の寂庵にて。
雑誌「婦人公論」に収録する対談のため、林真理子さんが瀬戸内寂聴さんのもとを訪ねました。
寂聴さんがお元気だった頃の最後の動画です。
胸を打つ「99歳から次世代への遺言」
【本書の目次】(抜粋)
<1章> 最近の寂庵から
99歳から次世代への遺言〈対談・林真理子〉
98 歳、書き続けて 災害の多いこの国に生きる
<2章> 恋と革命の小説家
恋愛におけるセールスマンシップ
型やぶり愛情論〈対談・岡本太郎〉
<3章> 決意の独占手記
〝佛 の花嫁 〟 になった私の真意
<4章> 小説家として、僧侶として
[エッセイ・評論編]
法は何故無力なのか
家庭は諸悪の根源
[対談・鼎談編]
こんな相談をしてほしかった〈対談・宇野千代〉
激白・未婚の母という生き方 私は成すべきことをした〈対談・柳美里〉
女も男も美醜を超えて「色気」がすべて〈対談・野田秀樹〉
〇先生のいない寂庵の春〈瀬尾まなほ〉
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51歳で出家、法話でも人々を導く
【著者紹介】瀬戸内 寂聴
1922年、徳島県生まれ。東京女子大学卒業。
63年「夏の終り」で女流文学賞受賞。73年、中尊寺にて得度。
92年『花に問え』で谷崎潤一郎賞、96年『白道』で芸術選奨文部大臣賞、
2001年『場所』で野間文芸賞、11年『風景』で泉鏡花文学賞を受賞。
06年に文化勲章受章。2021年11月9日、永眠。
【おすすめの新刊本】
書名:『99年、ありのままに生きて』
著者:瀬戸内 寂聴
判型:四六判変型(296ページ)
発行:2022年5月10日
定価:1760円(税込)
この記事と画像の出典:中央公論新社 公式サイト
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