日本では70歳~74歳の3人に1人、65~69歳の2人に1人が働いていることが、先月発表された国の調査結果で明らかになりました。
そして、高齢者の約4割が「仕事を続けたい」と希望しており、日本の高齢者は欧米と比べると働く意欲が格段に高いことが分かったのです。
こうした情報が英語圏のネット掲示板に伝わったところ、海外からもさまざまな意見が寄せられています。
詳細を見ていきましょう。
60代後半の男性、6割が働く
この調査データは、内閣府が6月に公表した2021年版高齢社会白書です。
まずは就業者について年齢別の割合を見てみますと、2020年には60~64歳が71.0%、65~69歳が49.6%、70~74歳が32.5%となりました。
10年前の2010年と比較すると、いずれも10~13ポイント以上の幅で大きく伸びているのです(下のグラフ参照)。
「働けるうちはいつまでも」4 割へ
これを男女別に見てみますと、働く男性の割合は55~59歳が91.3%、60~64歳が82.6%、65~69歳が60.0%にも上りました。
60歳を過ぎても働いている男性は、決して少なくありません(下のグラフ参照)。
一方、女性の場合は55~59歳が72.8%、60~64歳が59.7%、65~69歳が39.9%です。
70~74歳では働く男性が41.3%、女性が24.7%でした。
そして、現在収入のある仕事をしている60 歳以上の約4割の人たちが、「働けるうちはいつまでも」働きたいと答えています(下のグラフ参照)。
70 歳以上まで働きたいとの回答も合わせれば、なんと約9割もの人たちが高齢になっても働きたいと考えているのです。
⇒【生涯現役で働く高齢者】今も夢を追う総務部員、画家、写真家たちのプロ精神に学ぶ
海外の声「日本の労働文化ならでは」「私は仕事をやめたい」
こうした日本の情報(内閣府の発表内容)が英語圏最大の国際的な掲示板サイトReddit(レディット)に伝わったところ、海外から次のような意見が寄せられました。
スレ主『日本人は70~74歳のなんと3人に1人がまだ仕事に就いているが、どう思う?』
「仕事好きな人や仕事以外にやることがない人はたくさんいるし、日本のクレイジーな労働文化のことを考えると、それが当たり前なんでしょうね」
「それはお気の毒。私は老後も暮らせるお金を手に入れたら、すぐに仕事をやめたい」
「アメリカでは75歳の就業率が2000年から43%も上昇している。これは多くの国で起きている現象だと思います」
「日本では高齢になっても多くの人が健康だという事情もある。社交がゼロになるのが嫌ならば仕事を続けるだろう。壁を一日中眺めているより良いと思う」
日本の高齢者、なぜ働く意欲高い?
このような海外との意識の違いを裏付けているのが次のデータです。
今年の高齢社会白書では、2020年度に行った高齢者(60歳以上)の生活と意識に関する「国際比較調査」の結果も掲載しています。
それによると、まず各国の60 歳以上の人たちに、今後収入のある仕事をしたいかどうか尋ねました(下のグラフ参照)。
すると、日本を除く国の過半数が「仕事をしたくない(辞めたい)」と回答(最多)しています。
仕事をしたいという人は日本が40.2%と最も高く、次いでアメリカ29.9%、ドイツ28.1%、スウェーデン26.6%の順でした。
日本の高齢者は就労意欲が高いことがよく分かる結果です。
⇒【4月施行の70歳就業法特集】70歳定年延長で、高齢者は本当に働きたいのでしょうか?
日本は「収入が欲しい」、海外は「仕事が面白い」
一方、「仕事をしたい」と答えた60 歳以上の人に、その理由を尋ねました(下のグラフ参照)。
すると、日本は「収入が欲しいから」、その他の国は「仕事そのものが面白いから、自分の活力になるから」という人が最も多かったのです。
次いで多い回答をみると、日本は「働くのは体によいから、老化を防ぐから」、その他の国は「収入が欲しいから」。
高齢者が仕事に求めるものや考え方の違いが、はっきりと表れているのではないでしょうか。
本記事と画像の出典:内閣府「令和3年版高齢社会白書」、掲示板サイトReddit
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