4月になり新年度がスタートしました。新生活の始まりとともに何か新しいことをしたいと思う高齢者は多いのではないでしょうか。
そこでオススメなのが絵本の読み聞かせです。今、高齢者間で絵本の読み聞かせが広がっているのをご存知ですか? 絵本の読み聞かせは高齢者にとってさまざまなメリットがあります。そこで今回は、高齢者にオススメの絵本の読み聞かせについてご紹介します。
絵本の読み聞かせ、高齢者のメリットとは?
絵本の読み聞かせには次のようなメリットがあります。
●絵本の吟味・選択→感性を磨く・知的活動・身体活動
●読む練習→五感を刺激・言語機能・記憶力
このように実際に絵本を選び、読む練習は高齢者の認知症予防となります。しかし、重要なのはこの先です。一人ではなく仲間を作って、誰かに読み聞かせることで認知症予防の真価が発揮されるのです。それが下記の通りです。
●読み聞かせの実演→社会参加、注意・実行機能、緊張感、視覚機能
●反省会→コミュニケーション、反省からの学び、仲間づくり
これを実践しているのが「NPO法人りぷりんと・ネットワーク」です。令和3年1月18日(月)にオンライン配信された「高齢社会フォーラムin東京『改めて考えよう、ウィズコロナを踏まえた高齢社会の未来像』」での基調講演「3つのSで乗り越えよう!ウィズコロナ時代のシニアの社会活動」にて、藤原 佳典氏(東京都健康長寿医療センター研究所社会参加と地域保健研究チーム 研究部長)は、認知症予防・フレイル予防の事例としてNPO法人りぷりんと・ネットワークの活動を取り上げました。
高齢者がボランティアで活躍!「NPO法人りぷりんと・ネットワーク」とは
(出典:内閣府HPより)
NPO法人りぷりんと・ネットワークでは、まず高齢者に3か月間の読み聞かせレッスンを受けてもらいます。レッスンでは発声練習・滑舌のトレーニング・時間通りに起承転結を明快に読むトレーニング、発表会などを行います。レッスン卒業後に、地元でチームを組んで定期的なボランティア活動をするというプログラムです。
コロナ禍での巣ごもり生活によって、高齢者の生活機能が低下がみられます。社会的役割を失うと状況判断や応用力が必要なくなるため知的好奇心が薄れ、身の回りのことも不自由になってきます。その結果、要支援・要介護へと移行してしまうことに。こういった状況を防ぐためには下記が挙げられます。
・高齢者が役割を持つこと(でき派きと状況に対応できるような日常生活の継続)
・通いの場(人とつながれる場)を持つこと(就労やボランティア、趣味活用)
・多世代交流
つまり、高齢者が人とつながり(多世代交流)を持ちながら自分の役割を持つことが鍵となります。これらを網羅しているのがNPO法人りぷりんと・ネットワークが行う絵本の読み聞かせ活動なのです。
読み聞かせを続けた高齢者に現れた好変化
ご覧いただいたように、NPO法人りぷりんと・ネットワークの活動は高齢者の健康維持に好適なプログラムだとお分かりいただけかと思います。実際に、6年間活動を続けていた方に脳のMRIを撮影したところ、その効果の高さを物語るような結果が出ました。それは海馬の状態です。一般的に、記憶を司どる海馬は年間少しずつ萎縮していきます。しかし、この方は6年経ってもほとんど萎縮していないことがわかりました。
また、7年間ボランティアを続けてる方に体力測定をした結果、体のバランス力の検査や握力、歩行のスピードなどが、ほとんど7年間落ちてないことが判明。ボランティア活動は人前で行うため、背筋を真っ直ぐにして読み聞かせたり、会の開催のためにてきぱきと動いたりとすることで自然と体力トレーニングにもつながっていると考えられます。
高齢者が健やかでいるためには、体力面・精神面・社会面において満足度を上げること、すなわち「QOL(クオリティ・オブ・ライフ)」を高めることが鍵と言えます。
コロナ禍での読み聞かせはオンラインを駆使しよう
高齢者にとってうれしい効果が期待できる読み聞かせですが、緊急事態宣言が解けたとはいえ、かつてのように対面で行うことはまだ難しい状況です。しかし、コロナ禍でオンラインが一気に普及したことで、オンラインでの活動が期待されます。気になる方は興味があるボランティア団体に問い合わせてみるといいでしょう。
もし入会するのが難しいのであれば、zoomなどを使ってオンラインでお孫さんに読み聞かせすることもできます。コロナ禍でのオンラインの普及で、「デジタルシニア」と呼ばれるオンラインを駆使する高齢者も増えてました。まだ本格的にボランティア活動に参加できなくても、まずは自宅で練習して、離れて暮らすお孫さんにオンラインで読み聞かせをしてみるのも一つではないでしょうか。
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