認知症の高齢者が、犬を介したアニマルセラピーによってQOLが向上したという報告があります。(→「QOL」とは)
犬が持つ力はとても大きなもので、高齢者本人だけでなく、介護をする人にも精神的な安定という効果があります。
今回は、犬が高齢者に与える癒しの効果について、データをもとに詳しく解説します。
アニマルセラピーの効果って?
アニマルセラピーには、心理・身体・生理的・社会的効果があることが、以前から報告されています。
具体的にどのような効果があるのか、みていきましょう。
動物は心を落ち着かせてくれる
動物は、人の心を落ち着かせてくれる、リラックスさせてくれるという研究結果がでています。
発表された心理・身体的効果は、おおきく5つです。
1.動物が孤独感が軽くなる
2.抑うつが軽くなる
3.不安が軽くなる
4.副交感神経の亢進
5.交感神経の抑制
動物と触れ合うことにより、孤独感や抑うつ感が軽減されて、心身ともにリラックスすることがデータとして出ました。
動物は、人に好印象を与える
社会的効果があるのかどうかの研究をみてみると、動物が対人面において好印象となるきっかけを与えてくれることがわかりました。
「AさんとBさんを評価」する内容の実験を例に説明します。
実験では、2つの絵を使用します。
1つは、Aさんだけが描かれている絵。もう1つは、Bさんと「動物」が一緒に描かれている絵です。
2つの絵を見比べたときに、動物が描かれている絵にいた「Bさん」に対して、好印象を抱くという結果が出ました。
このことから、動物は対人面においても好印象を与えるための要素として、関係していることがわかりました。
犬と過ごすことで、目的意識や自尊心を取り戻す
老人施設で暮らすOさんの事例を紹介します。
Oさんは、施設で暮らす中で、妄想や暴言の症状が強く出ていました。
そこで、中型犬と月に1回、2時間ほど触れ合うというアニマルセラピーを、計9回実施。
9か月間にわたり、Oさんの経過を観察した結果、以下のような変化がみられました。
・アニマルセラピーにより、情緒が安定
・効果は、翌日から1週間持続
さらに、犬の餌を買いに行って餌を与える、お座りなどの指示を出して満足げにしているという姿がみられました。
このことから、犬をきっかけに目的意識や自尊心の高まりが伺えます。
犬は、高齢者の心を「穏やか」にしてくれる大切な存在
動物は、人に対して心身・社会的に、「穏やかさ」を取り戻させてくれる重要な存在です。
なかでも犬は、認知面に不安を抱える高齢者にとって、癒しだけでなく、自立や自尊心を高めてくれるということがわかりました。
高齢化が進む現代において、犬と暮らしていくことが、毎日健やかな生活を送るための鍵となっていくでしょう。
独居高齢者の場合、犬を飼うと「自分が動けなくなったときに、面倒をみる人がいなくなってしまう」という不安があります。
そこで活用したいのが、「ペットと共生できる施設」です。
ペットは、単に可愛らしいというだけではありません。高齢者の心身を、健やかな状態へと導いてくれるという、大きな力を秘めています。
このように、ペットは家族であり、高齢者のいきがいとなっているのです。
高齢者住宅を探している、ペットと一緒に暮らしたいという人は、こちらで物件の紹介をしているので、ぜひご覧ください。
【おすすめ物件】
・ヘーベルVillage世田谷1丁目~Paysage Clair~ ペット共生型賃貸(併用)住宅
・ヘーベルVillage新江古田 ~ラ・プリマヴェーラ~ ペット共生型賃貸(併用)住宅
高齢者の健康促進・地域とのコミュニティづくりにおいて、ペットは強い味方になってくれます。 ただ、ペットと暮らす高齢者は、ペットとの生活にどうしても不安を抱えがちです。 そこで、 ・安心してペットと暮らすためにはどうしたら良いのか ・高齢者とペットを支援する団体について について...