大ベストセラー「バカの壁」で知られる解剖学者・養老 孟司(ようろう たけし)さんが昨年末に発刊した新書『ヒトの壁』が早くも20万部に達し、話題を集めています。
コロナ禍を生きる私たちに行くべき道を示してくれる内容で、84歳の知性が光る一冊といえそうです。
顔色をうかがい過ぎると「ヒトの壁」
今回の『ヒトの壁』はあの「バカの壁」(約450万部)以降の「壁」シリーズ最新刊として、新潮社から昨年12月に刊行されました。
読者からは、本文中のこんな言葉が響いたとの声が多数寄せられています。
『(コロナ禍の)今は人間関係ばかり。
相手の顔色をうかがい過ぎていないか。
たかがヒトの分際で調和をはかろうとしすぎていないか』
人間関係に悩む人が多いことのあらわれなのでしょうか。
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死の淵のぞく心筋梗塞を患い
この2年間、養老さんはコロナ禍での社会の変化を見つめながら、思考を深めてきました。
自身にも大きな出来事が次々に訪れたといいます。
死の淵をのぞく心筋梗塞を患い、思索の対象ともなってきた愛猫「まる」を喪いました。
こうした経験から、考え抜いた言葉をまとめたのが本書です。
コロナ禍という世界的な災いを経て、人間が「ヒト」という生物としてこれほど考える機会はかつてなかったかも。
そして、他人の存在をこれほど意識したことがあっただろうか。
84歳の知性は、そんな状況から考えます。
今回もまた目からウロコが落ちるような感覚にとらわれました。
ウイルスの画像に現代人の盲点
本書の1章には、こんな意表をつく問いかけが書かれています。
『新型コロナに関するテレビ報道では、よくコロナウイルスの電子顕微鏡写真が映されていました。
多くの人が、アナウンサーの後ろに大きく映ったあのウイルスを何度も見たことでしょう。
では、ウイルスがあの大きさで見える倍率の顕微鏡で、アナウンサーを見たらどのくらいの大きさになるのか?』
養老さんの計算では、およそ100万m(1000㎞)のケタに達するそうです。
画面では、アナウンサーとウイルスは当然のように一緒に映っていますが、そこに「現代人の盲点」がある、というのです。
その盲点とは何か。誰も読んだことがない「コロナ」「不要不休」の考察から始まる本書。
養老さんの案内で、知的興奮に満ちた旅へと出かけてみませんか。
心の問題や社会現象を論じる
【著者紹介】養老 孟司
1937(昭和12)年、鎌倉生れ。解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。
心の問題や社会現象について脳科学や解剖学などの知識を交えながら解説し、多くの読者を得た。
「バカの壁」は大ヒットし、2003年のベストセラー第1位に。
その後も「壁」シリーズは累計670万部を突破している。
大の虫好きとして知られ、昆虫採集・標本作成を続けている。
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【シニアにおすすめの新刊本】「ヒトの壁」詳細
書名:「ヒトの壁」(新潮新書)
発売日:2021年12月17日
本体定価:858円(税別)
この記事と画像の出典:㈱新潮社 公式サイト
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