「私の親を入居させたい!」自立助ける『サ高住』の特性とは。もっと高齢者・障害者が暮しやすい社会を
イチイグループは2017年春、自立型高齢者向け住宅を専門に扱う情報誌『+Life(プラスライフ)』(定期刊行物)を発刊しました。
そこで、当社では情報誌の普及活動(配布等)と合わせて、サービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住)などのニーズを探るため、ヒアリング調査を開始。
都内の区役所・市役所や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所などの現場をいま精力的に訪問しています。
プラスライフWEB版では今回、このヒアリングを担当する本誌編集スタッフのインタビュアー(聞き手)による座談会を企画。
高齢者福祉のあり方や理想の高齢者向け住宅などについて話し合ってもらいました。
当記事の前編『+Life編集部、都内の介護現場を歩く Vol.1』はこちらから
いまだ高齢者が暮しづらい社会
■日本の社会で今、「これは高齢者のためになっていないのでは」と感じることはありますか。
森:ユニバーサルマナー検定で勉強したおかげで、今まで気づかなかったことが見えてきました。
たとえば視力の弱い高齢者や視覚障害者にとって、街なかの放置自転車は本当に危険ですし、あちらこちらに段差が多すぎます。
これからの超高齢化社会に向けて、まだまだ改善すべきところがあることも分かりました。
福田:私も母を支えながら一緒に歩いていると、高齢者や障害者が困惑するような場面にたびたび遭遇します。
駅のエレベーターも、たとえば北口か南口のどちらか一方にしか設置されていないことも多いんです。杖をついて何とか階段を上がろうとする母を見ていると、心配でたまらなくなります。
自立促すサ高住っていいな
■どのような住宅であれば、「私の親を入居させたい」と思いますか。
福田:サ高住っていいな」と今回の調査活動を通じて改めて感じました。
10年ほど前、要介護になった祖母はやむなく老人ホームに入居したのですが、結果的に認知症がさらに悪化してしまいました。
その当時にサ高住という形態の住宅があれば、病気が進行する前に入居して、外部の介護サービスを受けていた方が良かったのではないか。もっと長生きできたのではないかと考えてしまいます。
■サ高住は、入居者が自立して生活できるようサポートするというのがコンセプトですからね。介護付きの老人ホームではどうしても、カゴの鳥のような生活になってしまいます。
森:も「サ高住なら安心できる」という感想をもちました。自立型のサ高住であっても近くの病院と提携していますから、親を入居させても心配ないと思います。
福田:私の母も、いずれはサ高住に入居することを考えています。
若返る?! 高齢者版シェアハウス
■「こんな高齢者向け住宅があったらいいな」というような、新しいアイデアはありませんか。
福田:若者向けだけでなく、これからは自立した高齢者のための「シェアハウス」(入居者が交流できる共同住宅)があれば、大変素晴らしいと思います。
夕食作りなどもチームを組んで交代で行えば、きっと生き生きと暮らすことができるでしょうね。
自分で身の回りのこともしない介護付き老人ホームでは、認知症も進んでしまう可能性もありますが、こうした共同生活ならむしろ若返っていくのではないかと思います。
森:シェアハウスの敷地内に「自家菜園」を作ってみてはどうでしょうか。
ひとり暮らしの高齢者が集まって、野菜作りなどで協力し合えば、孤独死は防げますし、何よりも高齢期の人生が一層楽しくなると思います。
私たちは誰もがいずれ高齢者になり、やがて障害をもつ高齢者になるかもしれません。高齢者や障害者にとって、「もっと暮しやすい社会」であってほしいですね。きょうはありがとうございました。