記憶のなかの風景〈第1幕 吉祥寺〉

気がつけば、街の風景もすっかり変わってしまった。
久しぶりにアルバムを開くと
あの頃の時代と記憶が鮮やかによみがえってくる。

「サンロード商店街」

『えっ、アーケードはないの?』。まだ「駅前通り」と呼ばれていた昭和40年冬の風景。商店街の中を走る路線バスが見える。前年の東京五輪が成功を収め、活気に満ちた戦後の高度経済成長の時代だった。この年の40年から駅前再開発が始まり、6年後アーケードが完成。名も改め、晴れて「サンロード」が誕生した。

「吉祥寺駅北口前」

再開発が進む昭和42年。中央に見えるのがハモニカ横丁の一角、今も賑う「仲見世商店街」の看板だ。終戦直後の20年代、荒廃した駅前にできた闇市がルーツとか。入り組んで混とんとした細い路地に飲食等100店が軒を連ねる。写真の中の商店はほぼ姿を消したが、昭和の面影を残す横丁の店であの頃を語り合うのもいい。

「吉祥寺通りに架かる井の頭公園陸橋」

この半世紀、ほとんど変わらない風景がある。新緑の芽ばえる昭和37年春(上)と昨年冬(下)の『公園の中の歩道橋』だ。この橋を渡り、井の頭自然文化園に向かえば、当時から人気者のゾウ、はな子に会えた。懐かしい青春期のデートスポットはあの日の景色のままだった。

「ゾウのはな子さん」

一昨年69歳で亡くなったはな子は井の頭公園に来た昭和29年から、激動の人生を送った。飼育員を死なせてしまい、鎖につながれた辛い日々。鎖を解き、愛情を注いでくれた飼育員との出会い。苦難の歩みに自らの人生を重ねる人々。愛され、伝説となったはな子にもう一度会いたい!

タイから来日後、井の頭公園に来た昭和29年
一周忌の昨年5月より、吉祥寺駅北口で愛嬌を振りまくはな子の銅像

ゾウのはな子さんは今でも吉祥寺の街で愛され続けている。

白黒写真は、武蔵野市所蔵
カラー写真は、プラスライフ記者撮影

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