政府が今年6月に発表した「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」では、「相談できる親しい友人がいない」と回答した高齢者が欧米の10~14%に対し、日本では31%と2~3倍も多いことが明らかとなり、メディアでも話題を集めました。
一方、近年は自然災害が多発していますので、災害から高齢者が身を守るには近所の人などと助けあう“共助”が欠かせないとの声も高まってきました。どうすればいいのでしょうか。
そんななか、大手メディアのリクルート(東京・千代田区)がこの8月末、「住民の共助力」に関する実態調査の結果を公表。‟共助力”を備えた人たちの特徴を導き出したのです。
詳細を見ていきましょう。
第3回「ご近所や友人とお付き合いしていますか」 4ヵ国の高齢者2800人との面談(国際比較調査)で分かったことは? 「日本と外国では、高齢者の生活意識はどのくらい違うんだろう」。 そんな問題意識を持って、国が長年にわたり調査しています。 内閣府が1980年から5年ごとに実施してい...
「地域に知人がいない」4割も
同社が行ったインターネット調査「住民の共助力」(今年1月実施)は、関東圏に住む男女(20歳以上)327,004人の回答を分析したものです。
まず、災害発生時に人を“助ける力”と、人から“助けられる力”を「共助力」と定義。
「地域に知人はいますか」という質問の答えをもとに、個人の共助力を5点満点で算出しました。
5点満点は近所と徒歩園それぞれに知人がおり、災害時にその知人と互いに助け合えること。
2点は、知人の家もしくは連絡先を互いに知っている状態をいいます。
そして、アンケートの結果は平均点がわずか1.46点。
1点未満が4割を占め、そのほとんどが地域に知人が全くいないという回答でした(下の図を参照)。
改めて地域コミュニティの課題が浮き彫りになった格好です。
共助力高い「60代以上の女性」
それでは、共助力のスコアが4点以上の高得点者には、どのような特徴が見られたのでしょうか。
性別では男性より女性、年代別では若い人よりも年配の人が多いという結果でした。
男性については、現役世代の20代~50代では高得点者の割合が3~4%と極めて低く、60代以上を見ても全体(7%)を下回っています。
その一方で、女性については年代が高くなるほど高得点者が増えていきました。
60代以上では15%を占め、全体(7%)を大きく上回ったのです。
60代以上になると、仕事や子育てに追われる時間が減っていく代わりに、地域の公共施設や運動施設などを利用する機会が増えて、顔見知りができやすくなるためと思われます。
また、今の60代以上の女性は主婦層が過半数を占めていて、地域の交流を担ってきた世代であることも、共助力が高い理由の一つではないでしょうか。
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人々をつなぐ公園、運動施設
次に、共助力が4点以上の7%(約3000人)に着目し、共助力の高い人たちが暮らしている「街」の特徴について明らかにしました。
「お住まいの街のいいところはどこですか?」という設問について、共助力4点以上の高得点者が評価した「街の魅力」(35項目)をランキングしたものです。
そのトップは「地域に顔見知りや知り合いができやすい街」でした。
2位以下は「散歩・ジョギングがしやすい街」のほか、公共施設や公園、運動施設など地域の人たちが集まるスポットの充実や、子育て・教育環境の充実などがランクインしています。
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大切な「顔見知りのできる場所」
このような結果から、災害のときにご近所で助け合えるのは「知り合いのできやすい街」であり、その一番の担い手になるのが「高齢者」と「女性」であることが明らかになったのではないでしょうか。
本記事と画像の出典:㈱リクルート 公式サイト
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