このほど公表された「中高年層の住みかえ等に関する調査結果」。
高齢期の住みかえに関する最近のトレンドが明らかになり、注目されています。
今回浮き彫りになった主なトレンドとしては、年齢を重ねるにつれて住まいのサイズはコンパクトになり、生活利便性を一段と重視する傾向が強まるほか、今の住まいをどうするのか決めかねている人が多いことも分かりました。
詳細を見ていきましょう。
住みかえ理由は高齢への不安、子供との近居
今回の「中高年層の住みかえ等に関する調査」は三井不動産リアルティ(東京・千代田区)が首都圏に住む45歳以上の住みかえ経験者1,851名を対象に実施(今年2月上旬)したものです。
まず、住みかえの理由を尋ねたところ、全体では1位が「より広い家に住みたかった」(27.4%)、2位が「住まいの老朽化」(15.5%)、3位が「交通利便性が高いエリアへの住みかえ」(15.1%)でした。
これを年齢別に見てみますと、65歳以上の人の住みかえ理由は1位が「高齢による将来への不安」(24.4%)、2位が「子供や孫との同居または近居」(20.0%)、3位が「バリアフリーの整った住まいへの住みかえ」(19.3%)と、老後の暮らしを意識した内容が上位を占めました。(→「呼び寄せ」とは?)(→「バリアフリー」とは?)
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65歳からはコンパクトな住まいへ
次に、住みかえた物件について尋ねたところ、住みかえ時65歳未満の人は57.1%が「より広い家」に住みかえたのに対し、65歳以上は50.4%が「より狭い家」に住みかえていました。
部屋数についても、65歳未満は44.2%が「部屋数が増えた」のに対し、65歳以上は48.9%が「部屋数が減った」と答えています。
そして、住環境については65歳以上になると、「総合病院など大きな病院」や「商業施設」から近い立地を選ぶ人たちが増えました。
これらの結果から、年齢を重ねるにつれて、住まいのサイズはコンパクトになり、住環境については生活利便性を重視することが分かったのです。
3人に2人が住宅の資産価値を意識
住みかえた物件の資産価値(売却のしやすさ、値下がりのしにくさ)は意識したのかと尋ねたところ、およそ3分の2(65.9%)が「資産価値を意識した」と答えています。
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「今の住宅をどうするか決めている」36.7%にとどまる
一方で、現在の住まいを最終的にどうするか決めている人は36.7%にとどまりました。
より多くの選択肢を残すために、資産価値を意識して住みかえる人が多いことがうかがえます。
また、最終的に「相続」を考えている人の割合は、65歳未満の人が18.7%に対し、65歳以上は40.7%と約2倍の差がつきました。
出典:三井不動産リアルティ㈱ プレスリリース
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