世界最年長アプリ開発者 若宮正子氏
東京都は2018年10月、高齢者の就業を支援するイベント「シニアしごとEXPO」を開催し、最年長アプリ開発者・若宮正子氏が講演をしました。
スマホアプリの制作秘話やシニア世代と情報技術の関わり方について話してくれました。
(全2回に分けてお送りする)
翼をくれたインターネット
定年後、独学でパソコンスキルを習得し、インターネットに魅せられた若宮さん。
「話したり外出したりが好きだから、定年後に交流が減るのは寂しいと思っていました。母の介護で外出があまりできなかったけど、インターネットを使えば家にいても世界とつながれる。人と交流もできて感動しました。『翼をもらったんだ』と思えましたね」
最初にパソコンで使ったのはエクセル。表計算やグラフの作成ツールですが、作るとなると年齢的に血圧推移やお小遣い帳。
役立つけどおもしろみを感じなかったとのことで考えついたのがエクセルアート(※1)。これなら楽しめると思ったそう。
「日本古来の文様を次世代に教えたいけど、おばあちゃんが言っても耳を貸してくれないから、デジタルなものを使ってみようと思って始めました。こんなに表現力があるなんてびっくり。線の塗りつぶしと罫線だけで作れます」
エクセルアートはたちまち話題に。世界的に有名なTED(※2)での講演も果たしました。
81歳でアプリを開発
81歳で、自身を一躍“ときの人”にしたスマートフォン向けゲームアプリ「hinadan(ひな壇)」を開発。
「年寄りにはスマホは使いにくいんです。指が乾燥してるし太いですから。それに、アプリには私たち向けのものがなくて、知り合いのプログラマーさんに作ってほしいと話したら『若宮さん、自分で作れば?』って。
その人は宮城県、私は神奈川県。でもビデオチャットなどでやりとりして、完成させました」
※1 エクセルアートとは・・・表計算ソフトの「Excel」で描かれた絵。罫線などの機能を活用して、イラストや和柄などの図案を作成する。
※2 TEDとは・・・テクノロジー(Technology)、エンターテイメント(Entertainment)、デザイン(Design)の略称。1984年に発足した完全招待性の講演会の名称で、アイディアの拡散と共有を目的とする団体として世界中で知られる。
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