外国人の入国制限の緩和が徐々に進むなか、いま不動産賃貸業界ではコロナ後を見すえ、「これからは外国人入居者を取り込みたい」という声が上がっています。
そんな折、40年にわたり外国人向け賃貸を手がけてきた荻野政男氏が6月末、長年の知識と知恵をまとめた新刊本『外国人向け賃貸住宅 ノウハウのすべて』をリリースしました。
本書は発刊当初、アマゾンの不動産カテゴリーで第2位に浮上したのですが、問い合わせの内容によると、空室に悩む不動産オーナーからの引き合いが目立ちます。
この空室増加の背景には、少子化がじわじわと影響を及ぼしている事情(日本社会の構造的な問題)がありそうです。
コロナ後を見すえ、大家さん動き出す
この新刊本は㈱住宅新報出版(東京・豊島区)が今年6月24日、全国の書店やオンライン書店から発売したものです。
日本で暮らす外国人は近年増加傾向にあり、令和2年末には約290万人に上りました。
そんななか、アフターコロナに向けて、留学生や技能実習生など外国人を受け入れる賃貸住宅への期待が高まっています。
もっとも、外国人を敬遠する大家さんもまだまだ多いのが実態だけに、本書では外国人向け賃貸のメリットとリスク対処法など、実例を盛り込んだ賃貸経営成功のポイントについて詳しく解説しています。
実践的なノウハウをじっくりと説明しているところが一番の特徴です。
将来拡大してゆく「外国人の賃貸住宅需要」は、人口減による空室・空き家問題への新たな一手になり得るでしょう。
⇒【デュアラーなどアドレスホッパー向け】住まいのサブスク「ADDress」に新タイプ「キャンプサイト」が登場
将来の安定経営へ「貸し方の工夫」
本書の著者・荻野政男氏に話を聞きましたので、ご紹介します。
問)「2021年の日本の人口は前年比64万人減、過去最大の減少幅(例年の3倍超)」という衝撃的なニュースが今年4月、総務省から発表されました。
荻野『不動産オーナーにとってはこの「人口と世帯数減少」への対策が、不動産賃貸ビジネスを進める上で最も重要なことではないでしょうか。
人口の減少は何といっても空室リスクの根源だからです。
特に、賃貸住宅の需要層である若年層の減少(少子化)が深刻な問題だと思います』
問)どのような対策があるのですか。
荻野『私たちはその対策として『貸し方の工夫』が必要であると考えています。
これからの有望な賃貸住宅ユーザーとして、第一に外国人が挙げられます。
日本で暮らす外国人労働者は172万人(2020年)を超え、10年前の約3倍に達しました。
人口減少による労働力不足を解決するため、今後も在住外国人が増えていくのは間違いないと思います。
このように従来の貸し方を転換する方法は、目先の空室対策ではありません。
10年後・20年後の安定経営を見すえた抜本的な対策になり得るものと考えています』
⇒ペットが飼える大型シェアハウス、関西圏に初めて登場!愛犬の飼育も入居者仲間と助け合える!
外国人が空室問題の救世主!
【本書の目次】
特別対談 荻野政男×後藤裕幸(㈱GTN代表)
「外国人向け賃貸の過去、現在、そして未来について」
第1章 なぜ、今外国人向け賃貸なのか?
第2章 日本にいる外国人と住宅事情
第3章 外国人にアピールできる物件とは?
第4章 外国人に効果的な集客術を駆使しよう!
第5章 実践ノウハウ 物件紹介から契約まで
第6章 居住マナーを伝え、生活サポートを万全に
第7章 異文化共生とリスク対策
Column1 アメリカへの憧れとコルピングハウス
Column2 外国人労働者が暮らす町ロンドンの暮らし方に興味津々
Column3 外国人の住まいを支援するビジネスをスタート
Column4 英字新聞に出した3行広告が大当たり!
Column5 外国人向け賃貸が「未知」の時代 家主さん探しに四苦八苦
Column6 「外国人ハウス」を経てジャフハウスが大人気に!
Column7 「異文化共生住宅」の夢のため 不動産会社にできることを
<巻頭の特別対談>
外国人専門の家賃債務保証会社㈱グローバルトラストネットワークス(GTN)代表 後藤裕幸氏と著者の荻野政男氏が、外国人向け賃貸の昔と今、そしてこれからの展望について語っています。
この対談の模様は、Youtubeで動画配信中!
外国人に開かれた賃貸市場づくりへ
【著者略歴】荻野 政男(おぎの まさお)
福島県出身、法政大学社会学部卒。株式会社イチイ代表取締役。(公財)日本賃貸住宅管理協会常務理事、(一社)高齢者住宅財団理事、東京都居住支援協議会委員。
大学時代に欧米各国に滞在した経験から外国人の入居支援、外国人と日本人の共生型シェアハウスの運営等を手がける。外国人入居関連のセミナーは100回を超える。
❑㈱イチイ 公式サイトはこちら
【書籍情報】
書名:「外国人向け賃貸住宅 ノウハウのすべて」
著者:荻野 政男
発売:2022年6月24日
定価:本体1,800円+税
仕様:A5判、224頁
発行:㈱住宅新報出版
❑Amazon掲載ページはこちら
🔽関連記事
不動産賃貸管理業のイチイグループ(東京・新宿区)は3月31日、自社で運営するシェアハウスの空室をウクライナ避難民に無償で一定期間提供し、生活面のサポートも行うなどの人道支援プロジェクトに取り組むと発表しました。 ウクライナ支援の動きはいま、不動産に関わる各企業や業界団体でも始まっています。...
まん延防止措置が解除になり、宿泊業界は活気に満ちた模様です。高級ホテルをはじめ、さまざまな宿泊施設がゴールデンウィークに向けてお得なプランをリリースしています。これまで「おとなの住む旅」では、ワーケーションやステイケーションなど多様なプランをご紹介してきましたが、今回ご紹介するのはアドレスホッパ...