明治大正演歌を歌う岡大介さんは、現代で唯一のカンカラ三線・演歌師。三線との出合いから明治大正演歌の想いまでを語っていただきました。
明治大正演歌は人々の叫び
岡さんが歌う明治大正演歌は、政府批判・社会風刺を謳うもの。政府に立ち向かうための魂がこもった演説歌です。
20代前半から歌い始めた岡さんは、明治大正演歌のどこに惹かれたのでしょうか。
「強いメッセージが込められているところです。政治風刺はなんとなくしたいと思っていたけど、そう強く思ったきっかけは東日本大震災。落語家さんと被災地を回った時、皆さんの不安や辛さを目の当たりにして、真実を伝えたいって強く思ったんです」。
絶望の中で生まれたカンカラ三線
カンカラ三線を選んだのは明治大正演歌にぴったりだと思ったから。
「それまでギターで歌っていたけど、曲調が三味線調だからなんか違うなぁと思って。そんな時、たまたまカンカラ三線の存在を知りました。カンカラ三線は沖縄の楽器で、戦後物資を没収されて楽しみがない辛い時代に、ベッドの木・パラシュートの糸・配給食材の缶で作られたものです。たまたま出会った人に作り方を教わって、自分で作りました」。
怒鳴るように歌う明治大正演歌と、絶望の中で生まれたカンカラ三線。
それは驚くほどにマッチしたのです。
現在は野外ライブや居酒屋で流し、落語家の独演会や政党の決起集会など幅広く活動。年に数回は老人ホームを訪れます。
「明治時代の歌を歌うと、それまでの他の会では何をしても盛り上がらなかったのに、曲に合わせて手をたたく人がいるんです。80~90代の方は、親御さんがきっと歌っていたんでしょうね。施設の職員さんも驚いていました」。
日本人の熱い想いから生まれた明治大正演歌。絶やすわけにはいかないと、今日も岡さんは日本のどこかで歌い続けています。
岡大介
1978年8月13日生まれ、東京都出身。明治大正演歌を歌う唯一のカンカラ三線・演歌師。特に演歌師の添田唖蝉坊・知道親子の作品を歌っていることで、NHKやテレビ・新聞などメディアから注目を集める。年間ステージ数は365を超える
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