シニア世代向けの不動産担保ローン「リバースモーゲージ」はご存じでしょうか。
自宅を担保にして老後の資金が借りられるローン商品で、自分の死後に(相続人が)自宅を売却して元本を返済する仕組みです。しかし、その借りた資金はどのような用途に使えるのでしょうか。
リバースモーゲージに精通する専門家の吉岡 雅之氏(ファイナンシャルプランナー)に第3弾の原稿を寄稿していただき、答えを導いてもらいました。
【リバースモーゲージのすすめ】〈第3回〉
「底地を買い取ってもらうことはできますか?」
都内に住む60歳代の知り合いの山田隼人さん(仮名)から、代々土地持ちの地主だったお父様が亡くなられて相続案件として持ちかけられた相談でした。
底地とは「借地権の設定された土地。」(広辞苑)で、土地を持っている人(地主)と使う人(借地人・借地権者)とが違うため、不動産のそれぞれの利用価値が限られてしまうため、単独では価値が下がってしまいます。
そこで山田さんから底地を手放したいのだけど、誰か不動産のことが詳しい人に間に入ってもらえますかと依頼されました。
私の所属する大学不動産連盟で知り合った底地や借地問題に詳しい株式会社サンセイランディックの方に連絡を取ってみました。
その後、丸の内の本社で第一営業本部副本部長の小川周作執行役員様と会う機会を作っていただけました。
底地等の問題を解決する東証上場企業
小川様からまず会社についてご紹介いただき、30年以上前から底地の取り扱いを開始し、今では全国8拠点、北海道から沖縄まで全国の権利調整を要する不動産に特化した業界唯一の東証上場企業であることをご説明いただきました。
『まずは底地を当社で購入させてもらえれば、借地権者の方と直接話をして丁寧に権利調整の交渉をします。
権利調整の例としては、一般的に底地は先祖代々引き継がれる資産ですが、未分筆で面積の誤差が生じることが多々あります。
また不動産の権利調整には、人間関係が複雑に絡んでいることが多いため、高い交渉力が必要です。
当社は98%以上の顧客に満足していただいており、トラブルはほぼありません。』と。
リバースモーゲージで土地も買える!?
『高齢の借地権者の方が底地を購入する場合の一番の障壁は資金面です。
土地を購入したい思いはありますが、引退して仕事をしていないか、アルバイトやパートで働きながら年金を受給しているケースが3割程度で、土地を買うことは無理と考えている方が多いです。
そこでいろいろな銀行のリバースモーゲージのパンフレットをお見せしますが、第一声は私たちに貸してくれるわけがないというものでした。
何度か時間を置いて底地購入のメリットの話をして、「もし借りられるならば、底地購入を考えて見たい。」という方がいれば、銀行にご紹介して審査していただいています。』
小川様のお話を伺って、リバースモーゲージはシニアの方の不動産に関連するビジネスの潤滑油となって価値を高めてくれる役割を担うことができる金融商品であることを改めて認識しました。
<つづく>
【吉岡 雅之氏 略歴】
1987年上智大学法学部法律学科卒業後、大和証券入社。
その後、外資系金融機関で機関投資家向け債券営業や企業年金向け投資顧問営業を経験。
2013年に東京スター銀行に入行し、「リバースモーゲージ」についての勉強会やセミナー講師を務める。
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
⇒ 老後資金が借りられる「リバースモーゲージ」のもう一つの実例を読む
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