加齢とともに、心配が募る「認知症」。
高齢者の認知症は、誰もが起こりうる可能性があり、本人はもちろん、家族など介護者にとっても向き合うべき問題です。
そこで注目したいのが、「ドッグセラピー」。
近年、高齢者の認知症現場で、活動の機会を増やしています。
この記事では、ドッグセラピーについて、実際にどのような効果があったのか、研究結果をもとに解説します。
ドッグセラピーとは
ドッグセラピーとは、動物介在療法(Animal Assisted Therapy)のこと。
アニマルセラピーのひとつで、犬と触れ合い、心と体のリハビリテーションを行う活動を示します。
ドッグセラピーは、1980年代のアメリカで普及し、認知度が上がりました。
現在では、日本をはじめ世界中で、ドッグセラピーが注目されています。
ドッグセラピーで期待できる3つの効果
ドッグセラピーにより期待できる効果は、おおきく3つあります。
・記憶力の向上
・自発語の増加
・情緒安定
そのほかにも、自立歩行、発言が優しくなるなど、認知症の症状緩和につながる様々な効果が期待できます。
ドッグセラピーの効果、症例紹介
実際にドッグセラピーを行い、効果が認められた症例の一部を紹介します。
Yさんについて
認知症の症状が進み、物忘れ・意欲低下がみられたYさん。
生活するためには、援助が必要な状態でした。
Yさんが感じる、思うようにできないもどかしさ
Yさんが施設に入所すると、これまで自身でできていた家事などが思うようにできず、イライラが募っていきました。
次第と、施設スタッフに対して、攻撃的な態度をとってしまう結果に。
そこで始まったのが、ドッグセラピーです。
ドッグセラピーで、Yさんに良い変化が
Yさんは、もともと犬を飼っていたこともあり、セラピードッグとの触れ合いで、表情も明るく変化しました。
短期記憶が難しかったYさんでしたが、セラピードッグの名前や犬舎の場所など、新しい記憶もできるように。
体調が良い日は、セラピードッグといっしょに歩行訓練も行うことができました。
「セラピードッグを守ってあげる」といった、自分の役割を見出し、意欲的に毎日を過ごしたそうです。
ドッグセラピーで、認知症高齢者の活動量が増加
ドッグセラピーを行ったことで、認知症高齢者の日常生活活動量が増加したという研究結果があります。
普段、介護されることに抵抗がある認知症高齢者。
服を脱いだり着たり、入浴、髭剃りなどを拒否する人も多くいます。
しかし、ドッグセラピーを行っている認知症高齢者だと、介護が円滑になるケースが増えるのです。
ある認知症高齢者の場合だと、「犬がもうすぐ来る」とわかると、着替え・入浴介助などの介護行動を、すんなり受け入れるという結果に。
さらに、セラピードッグが部屋にくると、認知症高齢者みずからベッドに腰掛けるなど、自発的な行動がみられました。
この自発的な行動がきっかけとなり、リハビリ以外でも活動量が増えたという結果もあります。
出典:ドッグセラピーによる認知症高齢者に対する生活意欲の向上とリハビリテーション効果の調査研究
感情にうったえるアプローチが鍵
対人のセラピーだと、どうしても言葉に頼りがち。
言葉を使うリハビリだと、なかなか効果が得られないケースも多くあります。
これに対して、ドッグセラピーは、感情にうったえる方法です。
認知症高齢者の感情の部分にフォーカスすると、自発的な行動や、意欲の向上などの効果が期待できます。
言葉でのアプローチがなかなか効果がみられない認知症高齢者には、感情にうったえるドッグセラピーが有効という研究結果もあるため、実践の価値はあるといえるでしょう。
犬と生活することで、認知症症状緩和が期待できる
ドッグセラピーの効果に関する研究結果をもとに考えると、認知症高齢者が犬と暮らすことで、認知症の症状緩和につながることが考えられます。
犬と日頃から触れ合うことで、認知症高齢者の意欲が向上。
性格が穏やかになれば、介護者の負担も減るでしょう。
また、犬と遊ぶことにより、認知症高齢者が体を動かす機会が増え、健康促進へとつながるはずです。
すでに犬を飼っている人はもちろん、これから犬を飼いたいという人にとってピッタリなのが、サービス付き高齢者向け住宅です。
サービス付き高齢者向け住宅では、ペットといっしょに暮らせる物件も増えてきています。
小型犬または猫1匹まで飼育な可能な物件や、ペットが遊べるスペースが確保された物件などがあるので、ぜひご覧ください。
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