犬や猫との暮らしは高齢者の健康維持に効果があり、日々の生きがいにもなるとあって、シニア世代のペット愛好家は少なくありません。
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今回は、GORON編集部の吉川 奈美紀(きっかわ なみき)氏が執筆し話題を呼んだコラム記事「狂犬病と予防接種を正しく知ろう」をご紹介します。
狂犬病と予防接種を正しく知ろう
犬と暮らす飼い主のみなさんは、毎年の狂犬病の予防接種は受けていますか?
「狂犬病ワクチン」は、狂犬病予防のために、年1回の接種が義務付けられています。
現在、4~6月に接種するとしている規定を通年に広げるよう厚生労働省が見直しを検討されています。
様々な問題や社会的意識を受け、接種率の向上を目指して行われている状況です。
今回は、改めて狂犬病について学び、予防接種の必要性を考える機会として、狂犬病と予防接種について、知っておきたい知識をお伝えしていきます。
狂犬病とは?
狂犬病は、狂犬病ウイルスによって引き起こされる感染症であり、人間を含むすべての哺乳類に感染する可能性があります。
また、狂犬病は発病するとほぼ100%死に至る恐ろしい病気です。
1.原因
狂犬病ウイルス(Rabies virus)が原因で、感染動物(通常は野生動物や感染犬や猫など)の唾液に含まれることが一般的です。
2.感染経路
一般的に、感染動物からの噛みつきによってウイルスが体内に入りますが、傷口や粘膜からも感染する可能性があります。
3.症状
狂犬病は通常、感染後数週間から数ヶ月で症状が現れます。初期症状には発熱、頭痛、倦怠感などがありますが、病気が進行すると神経学的症状が出現します。
これには興奮、攻撃性、幻覚、けいれん、麻痺などが含まれます。最終的に、意識障害や昏睡状態に至ることもあります。
4.診断
狂犬病の診断は、臨床症状と可能性のある曝露歴(動物に噛まれた歴史など)に基づいて行われます。
ウイルスの検出や抗体検査も使用されます。
5.予防
狂犬病の予防には、ワクチンが非常に効果的です。
動物には予防接種があり、人間には噛まれた場合には予防的にワクチンや免疫グロブリンが投与されます。
6.治療
狂犬病の治療は難しく、通常は症状が現れる前に予防措置を取ることが重要です。
症状が現れた後は、治療の効果が限られるため、ほとんどが致命的です。
狂犬病は重篤な疾患であり、感染のリスクを最小限に抑えるためには、予防接種や適切な注意が必要です。
日本や世界での狂犬病発症の状況
日本国内では徹底した狂犬病対策が行われ、1957年以降、狂犬病の発症はありません。
しかし、狂犬病による死亡者の数は年々減少していますが、まだ世界的に問題となっています。
WHO(世界保健機関)によると、2021年時点で毎年世界中で約5万人が狂犬病によって亡くなっています。
多くの場合、これらの死亡は開発途上国で報告されており、特にアフリカとアジアで狂犬病が依然として深刻な公衆衛生上の問題となっています。
狂犬病は症状が激烈であることに加えて、死亡率も高いことから、非常に恐ろしい病気ではありますが、ワクチンを打てばほぼ確実に予防できる病気でもあります。
日本で狂犬病が撲滅できたのはなぜ?
日本で狂犬病が撲滅された主な要因はいくつかあります。
1.犬の予防接種プログラム
戦後、日本政府は犬に対する狂犬病の予防接種プログラムを実施。
このプログラムにより、国内の犬の狂犬病感染率が低下しました。
2.狂犬病予防法の制定と実施
1950年に狂犬病予防法が制定され、その後さまざまな予防対策が実施。
予防法の下、犬の飼い主は犬の登録と定期的な予防接種を義務付けられ、感染症の拡大を防ぎました。
3.地域狂犬病の撲滅
日本政府は地域ごとに狂犬病の監視と撲滅活動を行いました。
野生動物や家畜での狂犬病の発生を監視し、必要に応じて予防措置を講じることで、病気の拡大を防止できました。
4.獣医学の発展と教育の普及
獣医学の発展や獣医師の普及により、狂犬病の早期診断や予防が可能となりました。
また、獣医学の普及とともに、狂犬病の予防や対策に関する教育が一般に普及しました。
これらの取り組みの結果、日本では狂犬病が撲滅され、感染者や死亡者が極めて少なくすることができたのです。
また、日本以外にも世界で狂犬病を撲滅できている国がいくつかあります。
・オーストラリア
これは、厳格な動物検疫や予防接種プログラムによって撲滅が達成されました。
・ニュージーランド
オーストラリア同様に、厳格な動物検疫や予防接種プログラムが功を奏し撲滅できました。
・イギリス
1950年代に予防接種プログラムが開始され、狂犬病は急速に減少しました。
これらの国々は、効果的な予防接種プログラムや動物検疫などの対策を実施し、狂犬病の撲滅に成功したのですね。
狂犬病を発生させないためにできることが「予防接種」
「狂犬病」という疾患は、知りえる疾患の中で、おそらく最も悲惨で最も恐ろしい疾患です。
犬や猫、ほかの動物の感染時も同様です。種によって症状の違いこそありますが、どれもとても恐ろしい症状により、ほぼ確実に死に至ってしまいます。
大切な家族に起こる苦痛に満ちた症状をなすすべもなく、対症療法しかできずに見守る人々の悲しみは大きいものだと思います。
幸いにも、狂犬病は予防接種で感染を防ぐことができます。
もし、他国から日本へ狂犬病が進入してきたとしても、ある程度の割合で予防できていれば、大規模感染および、野生動物への定着化を防ぐことができます。
しかし、現在の接種率では、残念ながら完全な防御ができるとはいえない状況です。
かつては狂犬病予防ワクチンの強烈な副作用で敬遠されてきたこともありましたが、現在では改良が加えられ、混合ワクチンに比べても格段に副作用を起こしにくいワクチンとなっています。
犬たちが安心して暮らせるように、公園や川原で安心してほかの犬たちとも触れ合えるような環境を保つために、非業の死を遂げる人間や動物をつくらないように、1頭でも多くの方が愛犬の予防接種をしていくことを願っています。
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狂犬病についての予備知識
《 万が一狂犬病に感染してしまったら? 》
万が一感染していたとしても、即座に処置を行えば発症をほぼ確実に遅らせたり、防ぐことはできます。
感染自体を取り除くことはできませんが、進行を止めることはできます。
残念ながら感染してしまうと除去の方法はないのですが、発症しなければ死には至りません。
《 狂犬病予防接種が免除される場合がある 》
体調不良の老犬や病気があるなどの健康上の理由があれば、予防接種が免除されることもあります。
一般的には特定の健康上の理由によって医師または獣医師によって決定されます。以下のような場合には免除されることがあります。
1.健康上の問題
犬が予防接種によって健康上のリスクがある場合、獣医師は免除を検討することがあります。
例えば、アレルギー反応や免疫不全症などがある場合です。
2.年齢
一部の犬種や個体は、特定の年齢までに予防接種を受ける必要がない場合があります。
これは、獣医師の判断に基づいて行われます。
3.妊娠中または授乳中の母犬
妊娠中または授乳中の母犬には、予防接種が推奨されない場合があります。
この場合も獣医師の判断によります。
4.その他の特別な状況
特定の状況下で、狂犬病予防接種の免除が適切と判断されることがあります。
これには、一時的な健康問題や旅行計画などが含まれます。
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