
シニア世代が安心して暮らすためには、地震への備えを日頃から整えておくことが欠かせません。
日本は地震が多い国であり、突然大きな揺れに見舞われることもあります。
特に高齢者は、転倒によるケガや避難時の負担が大きくなることから、早めの対策が安心につながります。
この記事では、高齢者が地震に備えるために必要なポイントをわかりやすく整理してご紹介します。
能登半島地震の被災地ではいま、避難所へ行くことができず、自宅に留まらざるを得ない孤立した高齢者をいかに支援するかが課題となっています。 そんななか、被災地の賃貸住宅では不動産管理会社の果たす役割が重要となり、管理会社向けの「防災マニュアル」を現場でどう活かせるかが注視されているところです。...
シニア世代が地震に備えるべき理由

高齢になると、若い頃とは違って、地震の揺れに対して素早く身を守る行動をとりにくくなることがあります。
視力や筋力の低下により、家具の転倒や物が落ちてきたときにケガをしやすい傾向があります。
また、地震直後は交通や通信が混乱しやすく、支援が届くまで時間がかかる場面も考えられます。こうした要因から、高齢者こそ早めの準備が大切です。
高齢者が特に被害を受けやすい要因
自宅内の転倒、つまずきやすい床の段差、暗い室内など、身近な場所ほど危険が潜みます。
揺れた瞬間に立ち上がれない、避難行動が遅れるといった点も、被害の大きさにつながる可能性があります。
自宅内の転倒・落下リスクと身体機能の変化
大きな家具、食器棚、本棚などが倒れやすい配置の場合、地震時に強い危険があります。
高齢になると反射的に身をかがめる動作や移動が難しくなるため、落下物が当たりやすい状況が増えます。
災害時に必要な支援が届くまでの時間的ギャップ
災害直後は、救助や支援が集中し、すぐには対応が届かないことがあります。
特に持病のある方は、薬や医療関連用品を常備しておくことが非常に重要です。
自宅でできる地震対策

地震対策は、難しい作業をしなくても、日常の見直しだけで安全性が大きく高まります。
家具の固定や動線の確保は、ご自身の体力に合わせて無理なく行うことができます。
家具固定・動線確保・照明対策
家具が倒れないように固定金具や耐震マットを使用すると、揺れの被害を軽減できます。
普段歩く通路に物を置かないことで、避難時につまずく危険を防げます。また、停電時に備えて、足元灯や手元ライトを準備しておくと安心です。
一人暮らし・夫婦世帯で見直すべき生活動線
寝室・トイレ・玄関までの通路は、暮らしの中でもよく使う動線です。
荷物を置かず、夜間でも明るく歩けるように環境を整えることで、揺れた後も落ち着いて行動できます。
安全な避難経路の確認と共有
自宅から避難所までのルートは、一度歩いて確認しておくと安心です。
階段の有無や段差、街灯の状況などを事前に知っておくことで、慌てず移動できます。
シニア向け非常持ち出し品の準備

非常持ち出し袋は「必要最低限+個人に必要なもの」の2つを組み合わせて準備することが大切です。
年齢に応じた「個別の必需品」を備える
常備薬、血圧手帳、保険証のコピー、眼鏡、補聴器の電池など、高齢者ならではの必需品を忘れずに入れます。
持病のある方は、数日分の薬を小分けにしてセットしておきましょう。
薬・介護用品・眼鏡・補聴器などの管理方法
薬の新旧が混ざらないよう、定期的に確認して入れ替えることが重要です。
眼鏡は古いものを予備として入れておくと安心です。
重いものを持てない人のための“軽量セット”の作り方
一般的な非常袋は重くなりがちですが、シニア向けには軽量化が必要です。
水は500mlを数本に分け、食品はレトルトよりも軽いものを中心にするなど工夫ができます。
家族・地域とのつながりで安心を高める

地震時は、周囲とのつながりが大きな支えになります。家族やご近所と「もしもの時の連絡方法」を共有しておくだけでも安心感が生まれます。
家族との安否確認の方法(電話以外も含む)
災害時は電話がつながりにくくなります。メールやLINE、災害用伝言サービスなど複数の連絡手段を決めておきましょう。
地域包括支援センターや自治体の防災サービスの活用
自治体が実施する防災訓練や防災マップの配布など、地域のサービスを利用することで、身の回りの危険箇所を知ることができます。
ご近所との「ゆるやかな助け合い」づくり
普段から挨拶を交わすだけでも、いざという時に声を掛け合いやすくなります。
特に一人暮らしの方は、顔見知りをつくっておくことで避難時の安心につながります。
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地震後の行動と身を守るポイント

揺れが収まった後も、余震や落下物には注意が必要です。
慌てて外に飛び出すのではなく、まず身の回りの安全を確認し、落ち着いて行動することが大切です。
ケガをしないための初動対応
足元のガラス片や倒れた家具に注意しながら、安全な空間を確保します。
靴を履くことで足のケガを防ぎやすくなります。
避難所での生活に必要な知識
避難所では、寒さ対策やプライバシー確保が課題となる場合があります。
タオルや羽織れる衣類を持っていくと重宝します。
持病・通院がある人の注意点
薬の残量を早めに把握し、可能であれば医療機関と連絡を取る準備をしておきます。
避難所で体調に不安がある場合は、職員に伝えることが大切です。
高齢者が地震に備えるためには「日常の見直し」が大きな安心に

高齢者が地震に備えるためには、特別な設備よりも「日常の見直し」が大きな安心につながります。
家具の固定や非常用品の準備、家族や地域との連携など、一つひとつは小さな工夫でも、積み重ねることで安全性が高まります。
今日からできることを少しずつ行い、安心して暮らせる環境を整えていきましょう。
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