シニア世代向けの不動産担保ローン「リバースモーゲージ」といえば、自宅を担保に老後の資金が借りられるという、いま話題のローン商品。
自分の死後に自宅を売却し返済する仕組みがとてもユニークです。
そんなリバースモーゲージに精通する専門家の吉岡 雅之氏(ファイナンシャルプランナー)に、各金融機関のリバースモーゲージへの取り組みについて解説していただきました。
【リバースモーゲージのすすめ】〈第4回〉
融資実行される方は関東が中心で関西及び名古屋地区が続き、年齢層は50代・60代のネットを利用することに慣れた層が多いです。
超高齢化社会が進む日本で、今後も需要は高まっていくと考えております。」
と楽天銀行株式会社 個人営業本部副本部長 西林治朗様に伺った「楽天銀行リバースモーゲージ」についてです。
楽天銀行、2%台の低金利で新規参入
その商品概要説明書を拝見したところ、お申込みいただける方として「お借り入れ時の年齢満50歳以上の方」、「給与や年金等の安定継続した収入のある方」等、またお使いみちは「原則自由(ただし、公序良俗に反するものは除きます)※書面(見積書等)にてお使いみちは確認させていただく場合があります」とあります。
金利については「当行の短期プライムレートを基準とする変動金利」とありますが、2023年11月現在2%台の金利を提供していて、他行比較で低い水準にあります。
後発とは言え、思い切った商品設計をされていると感心しました。
東京スター銀行、民間初の本格商品発売
日本での「リバースモーゲージ」は1981年に武蔵野市が福祉資金貸付制度として開始したことが始まりで、当時民間の金融機関も商品化しましたが、残念ながら1990年代の不動産価格の下落により市場は拡大しませんでした。
その後、2002年に地域福祉を推進する民間団体である社会福祉協議会(社協)による長期生活支援資金貸付制度(「不動産担保型生活資金(2010年から名称変更)」)として、低所得者向けの生活資金の貸付を行う制度ができました。
一方、民間金融機関では2005年に東京スター銀行が導入しました。
この時代は「代物弁済」を選択することで、債務を引き継いだ相続人の不動産下落リスクを回避する方法が取られていました。
つまり債務者である方がお亡くなりになった時に担保不動産を売却しても、その代金でローン残高を完済できそうにない時に限り、「代物弁済」を選択することにより、担保不動産を金融機関に引き渡すことでこの債務を消滅させることができる制度です。
しかし、この「代物弁済」という制度は金融機関が不動産価値変動リスクを負うことになり、追随する金融機関は増えませんでした。
住宅金融支援機構、ノンリコース方式を導入
2017年に「リ・バース60」という住宅金融支援機構(以下「機構」)と提携している金融機関が提供する住宅ローンができました。
提携先の金融機関は機構と住宅融資保険契約を締結します。
この仕組みは、ノンリコースという債務者が死亡時に債務金額が担保不動産の売却価格よりも多く不足金が発生する場合に相続人の返済義務はないというものです。
2023年現在、約90の金融機関が取り扱っています。
金融機関毎に商品内容は異なりますが、資金使途は住宅の建設・購入、リフォーム、借り換え、サービス付き高齢者向け住宅の入居一時金などで、生活資金には使用できません。
保証会社が金融機関の債務を保証
2021年からスタートした楽天銀行は、この不動産価格変動リスクをどのように回避しているか聞いてみました。
「株式会社And Doホールディングスの連結子会社である株式会社フィナンシャルドゥ(以下「フィナンシャルドゥ」)が連帯保証会社となる仕組みで対応しています。
従って、不動産価値があると判断した担保物件については、前向きに審査するようにしています。」との返答でした。
もし債務者が債務を履行しない場合でも、保証会社によって債権者である金融機関は債務を保証してもらえるため、不動産価格の下落リスクを回避できる仕組みです。
ユニークな新潟県の大光銀行
最後に全国のリバースモーゲージを取り扱っている金融機関でとてもユニークな銀行として、新潟県長岡市に本店がある大光銀行のリバースモーゲージをご紹介します。
ホームページを拝見すると「たいこうリバースモーゲージⅠ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ」という商品名で、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲはそれぞれ保証付、Ⅰは株式会社かんそうしん保証付、Ⅱは株式会社東京スター・ビジネス・ファイナンス保証付、Ⅲは株式会社ファイナンシャルドゥ保証付で、Ⅳは住宅金融支援機構(住宅融資保険)とありました。
是非ご興味のある方は参照されることをお勧めします。
【吉岡 雅之氏 略歴】
1987年上智大学法学部法律学科卒業後、大和証券入社。
その後、外資系金融機関で機関投資家向け債券営業や企業年金向け投資顧問営業を経験。
2013年に東京スター銀行に入行し、「リバースモーゲージ」についての勉強会やセミナー講師を務める。
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
⇒ 老後資金が借りられる「リバースモーゲージ」のもう一つの実例を読む
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