東北地方発祥の伝統的な刺しゅうの一つ「刺し子(さしこ)」はご存じでしょうか。
稲の豊穣や家族の健康への願いといった、作り手の心象風景を映し出す独特なデザインが人の心を動かし、いま静かなブームを呼んでいるのです。
そんな中、91歳現役のカリスマ刺し子作家・銀座 亜紀枝(ぎんざ あきえ)さんがこのほど、伝統柄とオリジナル柄を含む171点の実物大の図案集(単行本)をリリースし、さっそく話題を集めています。
そのデザイン性は特にシニア女性からの支持が熱く、おもわず虜(とりこ)になってしまうという「刺し子」。奥深く、秘められたその魔力とはいかに―。
シニアを虜にする日本の伝統手芸
日本に古くからある伝統的な手芸の「刺し子」は、衣服を糸で刺していくことで、布の強度を高め、防寒に役立てるというものです。
過酷な寒さと度重なる飢饉など、東北の厳しい暮らしを生き抜くために生まれました。
そんな暮らしに根差した手芸ですが、何よりもそのデザインが素晴らしいのひと言。
季節ごとに咲く花や海の波形といった自然環境を模したもの、稲の豊穣や家族の健康、子孫繁栄を祈願したものなど、刺す人たちの心象風景が込められています。
いま刺し子は、刺すことによって心の平和を得たいという人たちから強く支持されているのです。
伝承と創作の図案171種、一挙公開!
そんな刺し子界の第一人者・銀座 亜紀枝さんの著書は、主婦の友社が昨年12月26日に発刊した『復刻版 刺し子の技法』。
発売直後から刺し子ファンの間で話題となり、ネット書店では完売に。そのため、今年2月に重版が決まるなど人気に火がついています。
本書は1992年に出版された『刺し子の技法』の30年ぶりの復刻版。
亜紀枝さんが伝える伝承と創作模様の計171種の図案を紹介したものです。
その図案を使った作品例として、亜紀枝さんデザインのさまざまな刺し子のウエアや小物などをカラーで多数掲載しています。
刺し子ファンにはたまらない一冊となるでしょう。
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山間の檜原村の古民家で暮らす
そんな銀座 亜紀枝さんは昭和6年生まれ、今年92歳を迎える現役の刺し子作家です。
出身は愛媛県で、大学入学とともに上京し、結婚・離婚を経て、自然食料理店を東京郊外に開店しました。
その後、木綿を扱う商店を開店し、出合ったのが「刺し子」です。
その美しさ、刺す楽しみにすっかり魅せられ、刺し子に人生を捧げることを決意。
関東や関西で刺し子の教室や店を展開し、刺し子の魅力を長年多くの人に伝えてきました。
現在は東京・檜原村の山間に新潟県から古民家を移築し、暮らしています。
その暮らしぶりは、自家製の布を藍染めにしたり、刺し子を教えたり、テキストを編纂するなど、刺し子三昧。
さらに450坪もの広い土地では、野菜作りや樹木の手入れもご自身の仕事。
90代になっても、まだまだ現役真っ盛りのパワフルな亜紀枝さんです。
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刺し子と藍染めに人生を捧げる
【略歴/銀座 亜紀枝(ぎんざ あきえ)】
刺し子作家。昭和6年(1931年)愛媛県生まれ。女子美術大学工芸科卒業。
専業主婦を経て、東京都西多摩郡檜原村に自然食料理店「むぎめし茶屋」と
藍染木綿の着物を販売する「もめんの店」を開業。
刺し子に傾倒し、個展や教室事業、刺し子の販売店を展開。
檜原村で「銀座亜紀枝刺子館」をオープンし、オリジナルの刺し子の材料も販売中。
❑本書「復刻版 刺し子の技法」(B5版・112頁、定価3520円)の詳細はこちら
この記事と画像の出典:㈱主婦の友社 公式サイト
当サイト「おとなの住む旅」では、今回の銀座 亜紀枝さんのように、現役の元気なシニア世代の皆さんの活躍ぶりを紹介しています。
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