リビングから浴室へ行くと、急な寒さに「ブルッ」とするときはありませんか?
暖かい部屋から寒い場所(浴室・トイレなど)での急激な気温変化により、血圧が大きく変動し起こる健康被害を「ヒートショック」と呼びます。
ヒートショックにより引き起こされるのが、失神・心筋梗塞・脳梗塞など。
ただ、毎日の工夫・生活習慣改善により、ヒートショックを予防することが可能です。
この記事では、ヒートショックについて、予防法とあわせて説明します。
ヒートショックが多発する冬、起こりやすいのは入浴時
ヒートショックは急な気温差で起こるため、寒さが厳しい冬の季節に多発します。
特に、冬の浴室でヒートショックが起こりやすく、入浴時は注意が必要です。
浴室・脱衣所は、リビングと違い暖房が入っていない家が多いでしょう。
暖かい部屋から寒い環境に行き、さらに衣類を脱ぐとなると、体温が奪われ血管が収縮し、血圧が急に上昇。
その後、熱いお風呂に入ると、今度は血管が開き血圧が急激に下がります。
この血圧の急激な上下が、ヒートショックを引き起こすのです。
ヒートショックにより失神・心筋梗塞・脳梗塞がお風呂で起こると、湯船でおぼれる事故に発展してしまうことも。
冬場のヒートショック対策は、高齢者の命を守るためにとても大切です。
高齢者の浴槽での不慮の溺水事故数・死亡数は多い
ヒートショックに注意と言われてもピンとこない方も多いかもしれません。
しかし、実は高齢者の浴槽での不慮の溺水事故数・死亡数は予想以上に発生しています。
消費者庁のデータを見ると、浴槽での溺水の数は以下であり、件数が多いこと・交通事故を上回っていることがわかります。
さらに、高齢者宅内の浴槽での死亡数は、不慮の溺死事故の71%を占めています。
寒暖差が目立つ冬場は特にヒートショックを万全にしておく必要があります。
消費者庁推奨のヒートショック対策
消費者庁が推奨しているヒートショック対策は以下です。
(1)入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう。
(2)湯温は41度以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。
(3)浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう。
(4)食後すぐの入浴や、飲酒後、医薬品服用後の入浴は避けましょう。
(5)入浴する前に同居者に一声掛けて、意識してもらいましょう。
引用:自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています|消費者庁
さらに、全国健康保険協会では、以下2つの項目も対策としてあげています。
・湯船につかる前に、シャワーやかけ湯で体を温める
・血圧が高いときには入浴を控える
参考:2月 しっかり予防!冬季のヒートショック|全国健康保険協会
寒さが目立つ冬の季節はもちろん、年間を通じて急激な体温の変化には注意していきましょう。
また、家族で高齢者を見守る・ヒートショックを意識づけるような声掛けも大切です。
高齢者の入浴事故を減らす方法【ヒートショックの予防法】
高齢者のヒートショックによる入浴事故を減らすための予防法は以下です。
- 脱衣所や浴室の温度を上げる
- 夜はさらに冷えるので、早めの時間に入浴する
- 心臓に負担がかかる、食事直後・早朝・深夜の入浴は避ける
- かけ湯をしてからお風呂にゆっくり入る
- お風呂の温度は40度前後に保つ
- 1回の入浴は5分以内と決める
- 入浴前後は水分補給をして脱水対策をする
- 浴室の床に滑り止めをつけ滑らないようにする
高齢者が安全に入浴できる環境を作り、不慮の事故を防いで健やかに暮らしましょう。
ヒートショックを予防して、健康なシニアライフを
ヒートショックについて、予防法とあわせて紹介しました。
体調管理・入浴時の心がけにより、ヒートショックを予防することができます。
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