新型コロナウイルス感染予防のため、最近は家の中で過ごす時間が増えていますが、そうなると注意が必要なのは高齢者の方々です。
高齢者の場合は、意外と“家の中”で多くの重大な事故が起きています。
滑って転倒するなど住宅内の事故のうち、死亡や重傷に至る割合は57%にも及んでいるのです(グラフA参照)。
そこで、製品評価等の情報を発信するNITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構、通称ナイト)は5月28日、屋内で起きる高齢者の事故を防ぐため、さまざまな注意を呼びかけました。
コロナ禍の今、NITE(ナイト)が注意呼びかける
経済産業省所管のNITE(ナイト)によると、高齢者の屋内の事故は、昨年までの10年間で合計790 件(同法人に通知のあった事故のみ集計)。
そのうち、転倒・転落の事故は130 件発生しています。
特にいすや踏み台ではバランスを崩し、事故に至るケースが少なくありません(グラフB参照)。
普段何げなく使っている物でも、ちょっとした油断や慣れが思わぬ被害につながります。
事例を挙げて、事故を防ぐポイントをご説明しましょう。
❏〈転倒・転落のケース〉こんな事故が起きています!
1.床の敷物「高齢者がカーペットラグで滑って転倒」
・立ち上がってスリッパを履こうとしたとき、床に敷いていたカーペットラグの上で滑ってしまい、バランスを崩して転倒し、負傷した。
〇映像はこちら➡ https://www.youtube.com/watch?time_continue=30&v=cKTOxZe0LW4&feature=emb_logo
(改善策が分かりやすく説明されています)
【事故を防ぐポイント】
・カーペットラグ(置き敷きタイプ)はテープで床に留めて、滑らないようにする。
2.踏み台「高齢者が作業中に転倒」
・踏み台を完全に開ききらない状態で置いていたため、天板が山形になり、その上での作業中にバランスを崩して転倒し、負傷した。
〇映像はこちら➡ https://www.youtube.com/watch?v=5i9brxoZWPU&feature=emb_logo
(改善策が分かりやすく説明されています)
【事故を防ぐポイント】
・踏み台は止め具がかかり、しっかり止まっている状態を確認してから使用する。また、天板に乗るときは、体が天板の中央にくるように乗る。
3.いす「寝ているうちに滑り落ちた」
・いすに座って寝ているうちに体がずれていき、滑り落ちて負傷した。
【事故を防ぐポイント】
・不安定な姿勢で、いすに座らない。また、体格に合ったいすを選ぶ。
転倒・転落の事故は“いす”が最多!
❏〈運動器具のケース〉こんな事故が起きています!
ルームランナーで最も多く事故が発生
今、外出自粛による運動不足解消のため、室内で運動器具を使用する機会が増えています。注意が必要です。
〇裸足でルームランナーを使用していたが、降りるときにベルト端のキャップ角部に足を当ててしまい、足に裂傷を負った。
〇骨粗しょう症の人が医師に相談せずにEMS機器(電気的に筋肉を刺激する運動器具)を使用し、腰を骨折した。
【事故を防ぐポイント】
・自分の体力や健康状態に合った製品かどうかをよく確認する。
・自分の体力や健康状態を過信せず、無理な運動を控える。また、運動中に異常を感じたらすぐに使用をやめる。
出典:NITE「屋内で起こる高齢者の転倒・転落事故を防ぐ~安全な製品選びのポイントと運動時の注意点~」
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