
2026年11月2日、政府が災害への備えとして、家庭での食料や飲料水などの備蓄を改めて呼びかけたことが報じられました。
災害時には物流の停滞や店舗の休業などによって、食料や生活必需品をすぐに購入できなくなる可能性があります。
特に高齢者の場合、一般的な防災用品を用意するだけでは十分とは限りません。
持病の薬や介護用品、噛む力や飲み込む力に合わせた非常食など、年齢や健康状態によって必要なものが異なるためです。
そこで今回は、高齢者が一般的な防災用品に加えて備蓄しておきたいもの15選を紹介します。
食料や医療用品の選び方、備蓄する際の注意点についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
台風が近づくと、大雨や河川の増水、土砂災害などに注目しがちですが、忘れてはいけないのが「風」への備えです。 台風による強い風では、物干し竿や植木鉢などが飛ばされたり、飛来物によって窓ガラスが割れたりする危険があります。また、停電によってエレベーターなどの設備が使えなくなる可能性もあります。...
高齢者の備蓄は一般家庭と何が違う?

災害時に必要となる飲料水や食料、懐中電灯などの防災用品は、高齢者も基本的には同じです。
ただし、年齢を重ねることで身体機能が変化したり、持病によって日常生活に必要なものが増えたりする場合があります。
そのため、高齢者の備蓄では、一般的な防災用品に加えて、自分の健康状態や生活習慣に合ったものを準備しておくことが重要です。
持病や服薬状況に合わせた備蓄が必要
高血圧や糖尿病、心臓病などの持病がある方は、災害時にも継続して服薬や健康管理ができるように備えておく必要があります。
大規模災害が発生すると、医療機関や薬局が通常どおり営業できなくなり、必要な薬をすぐに受け取れない可能性があります。
普段から服用している薬については、医師や薬剤師に相談し、災害時に備えた管理方法を確認しておきましょう。
また、お薬手帳や処方内容がわかる書類を用意しておくと、避難先で医療従事者に服薬状況を伝えやすくなります。
噛む力・飲み込む力に合わせた非常食を選ぶ
非常食といえば、乾パンやアルファ化米、缶詰などを思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、硬い食品や水分の少ない食品は、噛む力や飲み込む力が低下している高齢者にとって食べにくい場合があります。
そのため、普段からおかゆややわらかい食事を中心にしている方は、非常食も同じような食事形態のものを選ぶことが大切です。
特に、飲み込みに不安がある方は、食べ物が気管に入る誤嚥にも注意が必要です。普段の食事でとろみ調整などを行っている場合は、災害時にも対応できるよう準備しておきましょう。
災害時に買い物や物資の運搬が難しくなることも
災害が発生すると、スーパーやコンビニで商品が品薄になったり、物流が滞ったりすることがあります。
高齢者の場合、重い飲料水を持ち運ぶことや、長時間買い物の列に並ぶことが身体的な負担になる可能性もあるでしょう。
また、エレベーターが停止したマンションでは、階段を使って食料や水を運ばなければならない場合もあります。
こうした状況を想定し、日頃から必要なものを少しずつ備蓄しておくことが大切です。
高齢者が備蓄しておきたい食料・飲料水

高齢者の備蓄では、食料や飲料水を十分に確保するだけでなく、無理なく食べられるか、健康状態に合っているかも重要なポイントです。
ここでは、高齢者が備蓄する際に意識しておきたい食品を紹介します。
飲料水・保存水
飲料水は、災害時に欠かせない備蓄品のひとつです。
一般的に、飲料水は調理に使用する分も含めて1人1日3L程度が目安とされています。
高齢者の場合は、飲料水の量だけでなく、容器の大きさにも注目しましょう。
2Lのペットボトルは備蓄に便利ですが、握力が弱くなっている方にとっては、持ち上げたりコップに注いだりすることが負担になる場合があります。
そのため、500mL程度の小さなペットボトルも組み合わせて備蓄しておくと便利です。
また、災害時はトイレに行く回数を減らそうとして、水分摂取を控えてしまう方もいます。
しかし、水分不足は脱水症状や体調不良につながる可能性があるため、普段から適切な水分補給を心がけましょう。
レトルト食品・缶詰
レトルト食品や缶詰は、常温で長期間保存できるものが多く、災害時の食事に役立ちます。
特に、加熱せずに食べられる食品は、停電やガスの供給停止が発生した場合にも便利です。
高齢者向けには、やわらかい煮魚や野菜の煮物、スープなど、普段から食べ慣れている食品を選ぶとよいでしょう。
ただし、レトルト食品や缶詰には塩分が多い商品もあるため、高血圧や腎臓病などで食事制限がある方は、栄養成分表示を確認することが大切です。
おかゆ・やわらかい非常食
噛む力が弱くなっている高齢者には、おかゆややわらかいご飯などの備蓄がおすすめです。
市販されているレトルトのおかゆには、温めずに食べられる商品もあります。
また、介護食品として販売されているやわらかいおかずやペースト状の食品も、災害時の備蓄に活用できます。
ただし、すべての高齢者にやわらかい食品が必要なわけではありません。
普段の食事形態に合わせて、食べやすいものを選ぶようにしましょう。
栄養補助食品・ゼリー飲料
災害時は食事内容が偏りやすく、必要な栄養素を十分に摂取できなくなる可能性があります。
そのような場合に備えて、栄養補助食品を用意しておくのもひとつの方法です。
例えば、たんぱく質やビタミンなどを補える栄養補助食品は、普段の食事だけでは栄養が不足しやすい方の備えになります。
ただし、ゼリー飲料は商品によって栄養成分や硬さが異なります。飲み込む力が低下している方は、必ずしも安全に摂取できるとは限りません。
持病や嚥下機能に不安がある場合は、医師や管理栄養士などに相談して選びましょう。
高齢者が備蓄しておきたい日用品・医療用品15選

食料や飲料水以外にも、高齢者が災害時に備えて用意しておきたいものがあります。
特に、日常的に使用している医療用品や介護用品は、災害発生後に入手することが難しくなる場合があります。
ここでは、一般的な防災用品に加えて、高齢者が優先的に備蓄しておきたい日用品・医療用品を15種類紹介します。
①常備薬・処方薬:災害時に薬が入手できなくなる事態に備える
②お薬手帳・薬剤情報:避難先で服薬状況を正確に伝える
③携帯トイレ:断水や排水設備の故障に備える
④大人用おむつ・尿取りパッド:排泄に不安がある方の衛生管理
⑤ウェットティッシュ:断水時の身体の清拭などに使用する
⑥口腔ケア用品:災害時も口の中を清潔に保つ
⑦懐中電灯・ランタン:停電時の移動や転倒防止に役立つ
⑧携帯ラジオ:停電や通信障害時に情報を収集する
⑨モバイルバッテリー:スマートフォンなどの充電に使用する
⑩乾電池:ライトやラジオなどの電源を確保する
⑪防寒着・毛布:停電時の寒さ対策に使用する
⑫使い捨てカイロ:寒い時期の防寒対策を補助する
⑬マスク:避難生活での衛生対策に役立つ
⑭眼鏡・補聴器用電池:視力や聴力を補うために必要
⑮現金・小銭:停電などで電子決済が使えない場合に備える
これらの中でも、特に優先したいのが常備薬・処方薬、携帯トイレ、口腔ケア用品です。
■常備薬・処方薬
持病がある方にとって、普段から服用している薬は欠かせないものです。
災害時に薬が不足しないよう、処方薬の管理方法や予備の確保について、かかりつけ医や薬剤師に相談しておきましょう。
また、薬の名前や服用量を記録したお薬手帳は、避難時にも持ち出せる場所に保管しておくと安心です。
■携帯トイレ
災害によって断水や排水設備の故障が発生すると、自宅のトイレが使えなくなる場合があります。
特に高齢者の場合、屋外の仮設トイレまで移動することが負担になる可能性があります。
そのため、自宅の便器に取り付けて使用する携帯トイレなどを備蓄しておくことが大切です。
トイレの備蓄は1人1日5回程度を目安に、家族の人数に合わせて準備するとよいでしょう。
■口腔ケア用品
災害時は水が不足することで、歯磨きや入れ歯の洗浄が十分にできなくなる場合があります。
しかし、口の中を不衛生な状態にしておくと、細菌が増殖し、口腔内のトラブルにつながる可能性があります。
特に高齢者では、口腔内の細菌が唾液などとともに気管に入り、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクにも注意が必要です。
水を使わずに使用できる口腔ケア用品や、入れ歯の洗浄用品などを準備しておきましょう。
なお、補聴器や眼鏡、杖など、日常生活に欠かせない補助用品についても、災害時に使用できる状態を維持しておくことが重要です。
高齢者の備蓄で特に注意したい3つのポイント

高齢者の備蓄では、必要なものを購入するだけでなく、実際に災害が発生したときに安全に使用できるかどうかも重要です。
ここでは、特に注意しておきたい3つのポイントを紹介します。
持病がある方は薬を切らさない工夫を
高血圧や糖尿病、心臓病などの持病がある方は、災害時にも治療を継続できるよう準備しておくことが大切です。
特に、インスリンなど温度管理が必要な医薬品を使用している場合は、停電時の保管方法について事前に医療機関や薬局で確認しておきましょう。
また、災害時には普段と異なる生活環境によって体調が変化することもあります。
自己判断で薬の服用を中止したり、服用量を変更したりせず、必要に応じて医療従事者に相談することが重要です。
硬い非常食や塩分の多い食品に注意
非常食を選ぶ際は、保存期間の長さだけでなく、食べやすさや栄養成分も確認しましょう。
例えば、乾パンなどの硬い食品は、歯の状態や噛む力によって食べにくい場合があります。
また、缶詰やレトルト食品の中には、塩分が多く含まれている商品もあります。
高血圧や腎臓病などで食事制限がある方は、普段の食生活に合った食品を備蓄することが大切です。
災害時だからといって、普段は食べない食品を大量に用意するのではなく、日頃から食べ慣れているものを中心に選ぶとよいでしょう。
重い備蓄品は取り出しやすい場所に保管
備蓄品の保管場所にも注意が必要です。
特に、飲料水などの重いものを高い棚に置いてしまうと、取り出す際に転倒したり、落下したものによってけがをしたりする危険があります。
そのため、重い備蓄品は低い位置に保管し、無理な姿勢を取らずに取り出せるようにしましょう。
また、備蓄品を廊下や玄関に積み重ねると、災害時の避難経路を塞いでしまう可能性があります。
収納スペースを確保する際は、普段の生活動線や避難経路を妨げないことも重要です。
高齢者でも無理なく続けられるローリングストック

備蓄品は、一度購入すれば終わりというものではありません。
食品には賞味期限があり、医療用品や日用品も定期的な確認が必要です。
そこでおすすめしたいのが、普段の生活の中で備蓄品を管理する「ローリングストック」という方法です。
ローリングストックとは?
ローリングストックとは、普段から食べている食品や使用している日用品を少し多めに購入し、使った分だけ補充する備蓄方法です。
例えば、普段からレトルトのおかゆを食べている場合、いつもより数食分多めに購入しておきます。
そして、古いものから順番に食べ、減った分を買い足すことで、一定量の備蓄を維持できます。
この方法であれば、特別な非常食を大量に購入する必要がなく、普段の生活に取り入れやすいでしょう。
賞味期限切れを防ぐ管理方法
備蓄品を管理する際は、賞味期限を定期的に確認することが大切です。
特に、食品を複数の場所に保管していると、何をどれだけ備蓄しているのかわからなくなる場合があります。
そのため、食品の保管場所をできるだけまとめ、賞味期限が近いものを手前に置くなどの工夫をしましょう。
また、食品の賞味期限を大きな文字で書いたメモを貼っておくと、確認しやすくなります。
半年に1回程度、備蓄品の内容や期限を見直す日を決めておくのもおすすめです。ただし、期限が短い食品や医薬品は、それぞれの期限に合わせて確認する必要があります。
家族と備蓄品の保管場所を共有する
一人暮らしの高齢者や、高齢者のみの世帯では、離れて暮らす家族と備蓄品の情報を共有しておくことも大切です。
例えば、常備薬やお薬手帳の保管場所、飲料水や非常食の備蓄場所などを家族に伝えておくと、災害時の支援につながります。
また、家族が定期的に訪問する機会があれば、備蓄品の賞味期限や不足しているものを一緒に確認するとよいでしょう。
家族による支援が難しい場合は、地域の見守りサービスや自治体の高齢者支援制度などを確認しておくことも、災害への備えになります。
政府の備蓄呼びかけを機に高齢者ならではの備えを見直そう

2026年11月2日、政府が家庭での備蓄を改めて呼びかけたことを受け、災害への備えを見直す機会が訪れています。
地震や台風などの自然災害は、いつ発生するかわかりません。食料や飲料水を確保することはもちろん、高齢者の場合は、自分の健康状態や身体機能に合わせた備蓄が重要です。
特に、持病がある方は常備薬や処方薬の管理方法を確認し、噛む力や飲み込む力が低下している方は、普段の食事形態に合った非常食を選ぶ必要があります。
また、携帯トイレや口腔ケア用品、眼鏡や補聴器の関連用品なども、災害時の生活を支える重要な備蓄品です。
備蓄品を一度にすべて揃える必要はありません。普段の買い物で少しずつ買い足すローリングストックを活用すれば、無理なく備蓄を続けられるでしょう。
今回の政府の呼びかけをきっかけに、一般的な防災用品だけでなく、高齢者ならではの備蓄品が十分に揃っているか、改めて確認してみてはいかがでしょうか。
真夏に大規模な地震が発生すると、建物の倒壊や津波、火災だけでなく、停電によってエアコンが使えなくなることや、断水によって十分な水分や衛生環境を確保できなくなることも深刻な問題になります。 2026年7月28日には、熊本県熊本地方を震源とする地震により、熊本県宇城市と氷川町で最大震度7が観測...
近年、賃貸住宅では高齢入居者や外国人入居者の増加が進み、災害時の対応が大きな課題となっています。 こうした背景を受け、(公財)日本賃貸住宅管理協会東京都支部とあんしん居住研究会は、新たな書籍『多角的視点で学ぶ 防災マニュアル ~高齢入居者&外国人入居者対応編~』を発刊しました。 本書...
近年は全国各地で大きな地震が発生しており、「自分も何か備えた方が良いのでは」と感じている方も多いのではないでしょうか。 特に高齢者の場合、避難時の移動や家具転倒によるケガ、情報収集の難しさなど、若い世代とは異なる課題があります。 また、一人暮らしの高齢者世帯も増えており、“自宅で安全...
「おとなの住む旅」を運営する㈱イチイ(東京新宿区)では、『高齢者向けビジネス』として住宅分野(施設サービス)を展開しています。
ご興味がある方は、ぜひ下記ボタンよりお問い合わせください。







