思わぬ500万の出費に悩む日々
東京・世田谷区の分譲マンションに長年ひとりで暮らす山本さん(70歳・女性)。
ここ半年ほどはいかにも元気がなく、友人たちも大変心配していました。思い悩んでいたのは古くなったマンションのこと。
「大規模修繕をせざるを得ないので、500万円出してください」と管理組合から告げられたそうです。
山本さんはコツコツとためてきた預金の中から「そんな大金を一度に引き出してしまうの」と思うと、(預金は十分にあるとはいえ)不安でたまりませんでした。
生きている間は返済不要のローン、心にゆとり育む
そこで、その友人が山本さんにお勧めしたのが銀行からの借り入れ。『リバースモーゲージ』と呼ばれるローン商品でした。
(→「リバースモーゲージ」とは?|おとなの住む旅 用語解説)
このローンの最大のメリットは「高齢でも貸してくれて、生きている間は元本を返さなくて良い。しかも、使いみちは自由」というところにあります。
なぜこのローンをお勧めしたのでしょうか。
「高齢になればなるほど、自由に使うことのできる現預金を手元に置いておきたい、という気持ちが強くなります。特にひとり暮らしの方は不安でいっぱいですから」。友人はそう話しています。
使途は自由、3年で契約数倍増
ご承知のように、日本では高齢者世帯が増え続けています。
これを背景に、銀行等が2013年頃からリバースモーゲージというローン商品を積極的に取り扱うようになりました。
欧米ではすでに普及していますが、日本でも一般の関心が次第に高まり、最近は契約数が3年前の2倍へと伸びてきています。
このリバースモーゲージとは、金融機関からの借入れ方法の一形態です。
所有する不動産を担保にして資金を借りることができます(55歳か60歳以上の方が対象)。
担保にした自宅には、これまでと何も変わらずに住み続けることができる点もメリットです。
そして、最大の特徴は返済の仕組みにあります。
他のローンと全く違うのは、「生きている間は返済しなくて良い」というところ(但し、利息は必要)。亡くなった後に、親族等が手続きして担保不動産を売却し、その代金で一括返済するという方法だからです。
ところで山本さんですが、今回はこのリバースモーゲージを活用して、1千万円を借り受けました。
心にゆとりを取り戻し、今ではすっかりお元気です。趣味の合唱サークルにも、以前に増して足しげく通うほどになっています。
これからの人生を楽しく過ごしていただきたいですね。