過去10年で最少
75歳以上のドライバーが今年1~5月に起こした交通死亡事故は、過去10年で最少の151件で、前年同期に比べ14.2%減少したことが警察庁への取材で分かった。
死亡事故全体に占める割合も12.2%と前年同期の13%から0.8ポイント減少した。
3月に75歳以上の高齢ドライバーに対する認知機能のチェックなどが強化されたことが背景にあるとみられる。
警察庁の担当者は「通年で減少するか注視する」としている。
認知機能チェック効果か
警察庁によると、今年1~5月に全国で発生した全体の死亡事故は1235件。
前年同期比8.9%減と大幅に減少したが、75歳以上の事故はこれを上回るペースで減少していることになる。
このまま推移すれば、75歳以上の高齢者が起こす年間の死亡事故は360件程度となり、前年より約100件減少する見通しだ。
死亡事故全体に占める高齢ドライバーの割合は08年の8.7%から10年には10%に達した。
その後も右肩上がりが続き、16年は13.5%になったが、今年は5月末時点で12.2%となっている。
また、今年1~5月の交通事故死亡者数(加害者と被害者を合わせた数)は1399人で、前年同期比10.5%減だった。
このうち75歳以上は482人で同13.2%減っており、高齢者の減少が目立っている。
警察庁は、高齢者が関係する事故が減少している要因として、今年3月の道交法改正で認知機能や認知症の有無をチェックする体制が強化された点を挙げる。
認知症の疑いがあれば医師の診断が義務付けられ、それをきっかけに運転免許の更新をやめる人が増えており、運転免許の自主返納も増加している。
昨年1年間の返納は約34万5000件だったが、今年は4月末で約16万件に達しており、前年の1.4倍のペース。
警察庁の担当者は「道交法の改正や、高齢者の重大事故が報道などでクローズアップされ、安全運転への関心が高まっていることも影響しているのでは。事故抑止のため、対策を徹底したい」と話している。
【出典:毎日新聞2017年6月21日】