【2020年夏の帰省】高齢者の「オンライン帰省」から見えた問題点とは?

スマホの普及もあり、デジタルシニアはもはや珍しくない現在。新型コロナウイルス感染症の影響もあって、高齢者の間では、生活のあらゆる部分でオンライン化が進みました。
「デジタルシニア」とは?

コロナ禍にある今年のお盆は、オンラインを活用したオンライン帰省をするご家庭が多いでしょう。オンラインで相手とコミュニケーションすることは以前よりも広がっており、抵抗のない高齢者も増えています。しかし、やはり気後れしている高齢者がいるのも事実のようです。

株式会社ブランド総合研究所は、60歳以上で「デジタル化に気後れしている」と危機感を持っている人を対象に、「スマートフォン(スマホ)と帰省」についての調査を実施しました。60歳以上のオンラインでのコミュニケーションに対する意識が如実になりました。早速見ていきましょう。

【調査概要】
・ 調査方法 インターネット調査
・ 調査対象 登録調査モニター(15歳以上)から、60歳以上の男女を抽出し、事前調査で帰省する(してくる)人がいる人の中で、デジタル化に後れを感じている人を抽出
・ 回収数 1,124人
・ 調査時期 2020年7月17日~7月26日

※調査を実施するに先立ち、60歳以上の男女7550人を対象とした調査を行い、「デジタル化に後れを感じている」人で、帰省する(してくる)家族のいる1645人を抽出し、実施。

2020年の夏、帰省予定がある高齢者は2割弱!

最初に、今夏の帰省の予定について質問。すると、「帰省の予定がある」と答えた人が8.6%、「たぶん帰省する」は10.2%と、帰省予定がある人は全体の2割未満。8割以上が帰省予定がないことがわかりました。

帰省予定がない人の内訳は、「例年は帰省する(してくる)が、今年の夏は帰省の予定はない」が26.8%、「例年は帰省する(してくる)が、状況によっては帰省しないかもしれない」が13.7%、「わからない」の40.7%です。

70歳以上では「帰省の予定がある」は6.1%、「たぶん帰省する」は5.2%と、合計でも1割強しか帰省をしない(してこない)状況であることがわかりました。

帰省をしない理由、9割は新型コロナ

帰省予定がない人の大半の理由は、やはり新型コロナのようです。帰省予定のない人に「帰省しないのは、新型コロナウイルス感染拡大が影響していますか」と質問すると、「とても影響している」との回答が75.7%、「やや影響している」との回答が14.7%という結果でした。9割を超える人が新型コロナウイルスの影響で帰省を断念しています。

高齢者の間で「オンライン帰省」はどれくらい認知されている?

新型コロナウイルス感染症対策本部ではビデオ通話を使った「オンライン帰省」を呼びかけています。しかし、高齢者の間でオンライン帰省はどれくらい普及しているのでしょうか。

「オンライン帰省」の言葉を「知っている」と答えた人は、およ4人に1人の26.0%にすぎず、十分に認知されているとは言えないのが現状のようです。ちなみに、帰省の予定がないと答えた人のオンライン帰省の認知度は25.2%。まだまだ認知度が低いようです。実際にオンライン帰省をした人は3.2%と極めて少数であることが判明。シニアにおけるオンライン帰省の浸透度はまだまだ途上のようです。

高齢者の「オンライン帰省」浸透の低さの理由とは?

国全体としてオンライン帰省を謳っているものの、ここまで浸透されないのでしょうか。理由としては、「(そもそもスマホを持っていないため)スマホを所有した時に検討したい」(66歳・男性、北海道在住)のように、まだスマホを持っていないことが決定打のようです。

高齢者がスマホでしてみたいことのトップは「家族とのビデオ通話」

では、スマホを持っていない人は、今度スマホでどのようなことをしてみたいのでしょうか。

「スマホでしてみたいこと」について聞いてみたところ、やはり多かったのは21.1%の「家族とのビデオ通話」でした。これは、地震速報などの「災害時の情報を確認」や「健康に関する機能やアプリ」の利用などよりも多い結果に。特に70代以上では22.0%と、年代が高くなるほど高い傾向にあります。

また「家族の動画を見る」も19.6%と多く、オンライン帰省につながるような利用スタイルを望む声は少なくないようです。

高齢者のデジタル化の障壁は「価格・難しさ」

これまで自分専用のスマホを利用してこなかった人に、デジタル化への障壁・その理由を聞いてみました。すると、半数を超える56.6%が「料金が高そうだから」と回答。25.6%が「使い方が難しそうだから」と答えています。

次に「スマホを選ぶ際に重視したいことはどれですか」と質問すると、「料金」と答えた人が79.1%と最も多く、次いで「操作方法(簡単かどうか)」が49.1%でした。70代以上では「操作方法(簡単かどうか)を選んだ人が56.3%と半数を超えています。

オンライン帰省からわかった「高齢者の苦手意識」

今回の調査結果から、オンライン帰省を推進する前には、スマホに対するハードルを低くして、苦手意識を持たないような取り組み(価格の設定やスマホ操作の簡素化)が必要であることが浮き彫りとなりました。もちろん、PCでもビデオ通話はできますが、オンライン帰省は「スマホでするもの」というイメージも強いのではないでしょうか。

オンライン帰省を推進する前に、まずは高齢者がスマホに対して苦手意識を持っていることが問題点であることがわかりまして。それと同時に、苦手意識を低くする取り組みが重要だと言えるでしょう。

出典:PRTIMES

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