高齢の親などの介護のために仕事を辞める「介護離職」が近年増加し社会問題となるなか、「介護と仕事の両立に関する調査結果」がこのほど発表されました。
特に注目を集めたのは、介護経験のある管理職の会社員ではなんと2人に1人が「退職を考えた」と答えたこと。
改めて問題の深刻さが浮き彫りになったのです。
しかし、介護離職を防げない原因(ワケ)としては自分自身のスキル不足にあるのでは、との意外な問題点(推論)も明らかにしています。
子世代なら誰もが直面する「親の介護」は大切な問題として、しっかりと考えておきたいところです。
離職の原因は自分自身のスキル不足?!
今回の「介護と仕事の両立に関する調査結果」は人財サービス事業大手のAdecco Group Japanが2月28日に公表したもの。
親族の介護中もしくは過去に介護の経験がある管理職の会社員600名(全国)を対象にアンケートを実施しました(2017年に行った同様の調査と比較検証も)。
管理職は自身の介護と仕事の両立だけでなく、介護に関わっている部下がいれば上司としての配慮も求められ、介護の負担がより大きくなると言われます。
どんな課題があるのでしょうか。
2人に1人「退職考えた」
➊問い「介護を理由に退職を考えたことはあるか?」
2人に1人の48.3%が「介護を理由に退職を考えたことがある」と回答しました。
6割が「介護休暇は取りづらい」
➋問い「介護に関連して、休暇制度や勤務に関する制度を利用しづらいと思ったことはあるか?」
64.5%(387人)が「利用しづらいと思ったことがある」と回答しました。
2017年の調査でも63.2%が同様に回答しており、改善は見られません。
理由の1位は「自分の業務のために休めない」
➌問い「介護に関連して、休暇制度や勤務に関する制度を利用しづらいと思った理由は?」
休暇等の制度を利用しづらいと思う理由のトップは「自身の業務に支障が出るため」(67.4%)。
結局、制度自体が使いにくいのではなく、管理職のマインドやマネジメントスキルの不足が制度の活用にブレーキをかけていることが伺えました。
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解決策は「部下に仕事を任せること」
【調査結果へのコメント】
今回の調査結果について、責任者のアデコ㈱取締役・土屋恵子氏はこう総括しています。
『2人に1人(48.3%)が、介護を理由に退職を考えたことがあると回答しました。
2017年に改正育児・介護休業法が施行され、介護と仕事の両立を支援する制度が強化されたものの、介護の負担が仕事の継続に大きな影響を及ぼしている状況に変化はないということです。
また、介護経験のある管理職の64.5%が、介護に関連して休暇制度や勤務に関する制度は利用しづらいと回答しました。
一見すると、制度自体が不便なように見えます。
しかし、なぜそう思ったのかと質問したところ、最も多かったのは「自身の業務に支障が出るため」でした。
責任感が強い方ほど仕事を抱え込み、介護の負担も大きくなるという悪循環に陥っていることも考えられます。
これを解決するには、マネジメントスキルの向上が不可欠です。
部下を信頼し権限を移譲して思い切って任せれば、管理職として自身が成長できるだけでなく、部下の成長にもつながると思います』
この記事と画像の出典:Adecco Group Japan 公式サイト
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