
俳優として長く活躍する市毛良枝さんが、100歳まで生きた母親を介護し、見送るまでの日々をまとめたエッセイ『百歳の景色見たいと母は言い』が小学館から発売。
親の老いと向き合う読者が共感しやすいテーマで、介護の現実や心の揺れが丁寧に描かれています。
介護が必要になったとき、「親子関係が良好とは限らない」という現実に直面する方も少なくありません。 そんな中で、“毒親”と呼ばれる存在との関係に悩む子世代の葛藤を描いたコミックが発売されました。 新刊コミック『余命300日の毒親』について、ご紹介します。 大嫌いな親で...
母と娘の「100年の時間」を見つめ直す一冊

市毛さんの母は2004年に脳梗塞を発症し、徐々に要介護状態へ移行しました。
介護に翻弄される日々、施設入居や在宅介護の判断、変わり続ける生活リズムなど、娘である市毛さんも迷いながら支え続けます。
新刊本『百歳の景色見たいと母は言い』では、介護の苦労だけではなく、母との時間の中にあった温かい記憶も描かれています。
特に、車椅子の九十代の母と共にでアメリカ・オレゴンへ旅をしたエピソードは、親子の強い絆が感じられる印象的な出来事です。
介護とどう向き合うか
市毛さんは、介護に「正解」はなく、家庭ごとに事情も異なると語っています。
日々の中でどう受けとめるかによって、気持ちが軽くなった経験が紹介され、介護の中にも笑顔や救われる瞬間があることが伝えられています。
母のユニークな性格や、時代に育てられた考え方に触れながら、親の知らなかった一面を再発見する過程も記されています。
介護によって親子の関係を深く見つめ直す様子は、同じ経験をした読者の心に寄り添う内容です。
俳優として娘として

市毛良枝さんは1971年にデビューして以来、テレビ・映画・舞台で女優として活躍し続けています。
40歳から始めた登山をきっかけに自然環境への関心が深まり、環境カウンセラーとしても活動し、2025年には環境大臣賞(市民部門)を受賞。
多彩な活動を行う市毛さんが、俳優ではなく一人の娘の視点から介護の日々を綴ったことが、本書の大きな特徴です。
母を見送り約10年がたとうとしています。介護は個々の事情も千差万別です。家族でできる限界もあり、何が正しいのか簡単に答えは出せないものでした。それでも、受けとめ方次第で気持ちが楽になることはたくさんありました。その母を近くで見つめ、介護の時期を寄り添い、振り回された娘。わがままなのにお茶目でもあった母の姿は、これから老いていく娘の私にも何かの役に立つかもしれないと思います。介護に直面する方の参考にはならないかもしれませんが、あらあらと笑っていただき、ほんの少し息抜きでもなれば嬉しいです。
書籍情報

まとめ
新刊本『百歳の景色見たいと母は言い』は、介護の大変さだけでなく、親との時間をどう受けとめるかを考えるきっかけになる一冊です。
介護に悩む方、親の老いに寄り添う方、これから介護の可能性に向き合う世代にとって、心を整えてくれる内容となっています。
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