曲げ師になって56年 伝統と縁を紡ぐ
大川セイロ店
大川セイロ店2代目・大川良夫さんは、平安時代から続く技法で「セイロ」「フルイ」「漉し器(こしき)」を手掛ける曲げ師です。
「長男なので、そのまま継ぎました。もう曲げ師になって56年です」
大川さんは御年76歳。実年齢よりもずっとお若く見えます。
「仕事の後の楽しみは晩酌。1日に飲む量は決めています。
座りっぱなしなので、1時間に一度は立ち上がります。毎週木曜日はプールで泳いでいるんですよ」
人とのつながりが活力に
体調管理もさることながら、人との交流が元気でいる秘訣のようです。
楽しそうに思い出話をする大川さんから、〝人とのつながり〟を大切にされる姿勢が見受けられました。
こちらで人気の万能セイロも、人との交流から生まれた一つ。
「あるとき、若い主婦たちがやって来て『お赤飯も温野菜もおまんじゅうも、一気に作りたい』と相談されたんです」
一度に蒸せる二階建て構造にしたことで、喜んでもらえたんだとか。
作業部屋にも、知人の鍛冶職人などに作ってもらった道具や、購入者や修理を受けた人からのお礼の手紙など、人とのつながりを感じるものがあふれていました。
たくさんの人の想いを胸に、心を込めて作られているんですね。
曲げ師:薄い板を丸く曲げてつくるセイロや裏ごし・ふるいなど、いわゆる「曲げ物」をつくる職人。
セイロ:湯を沸かした鍋や釜の上にのせ、中に入れたもち米・野菜・菓子・料理などを下からの蒸気で蒸す調理器具。