当記事の前編『国内唯一、馬毛漉し器をつくる国宝級の職人 Vol.1』はこちらから
人々の想いを紡ぐ馬毛織(うまげおり)
こちらでしか作られていない馬毛の漉し器は一時、生産中止の危機にさらされました。
「馬毛で織られた毛網は、元々名古屋の業者が作っていたのですが、突然廃業してしまったんです。
他にできるところもなく、『なくなっては困る』との声が集まって。それなら自分たちでどうにかしようと。
馬毛織は女性の仕事だったので、私がやるしかないと思って始めました」
と話すのは妻・美富貴さん。とはいえ、知識も作り方も分からない状態からのスタート。
手探りで調べているうちに、偶然読んだ雑誌に馬毛織の記事を見つけたことをきっかけに、かつて香川県で馬毛網が作られていたことが判明。
四国へ行き、博物館の学芸員を通して織手さんと会い、織り方を知ることができました。
肝心の織り機も、図面から再現できる大工さんと出会い、造ってもらうことに。
「人との巡りあわせが重なって、導かれるように馬毛織に辿り着きました」
こうして馬毛織は復活を遂げたのです。
人の想いに応えることが、おふたりを突き動かす原動力になっているんですね。