
台風が近づくと、大雨や河川の増水、土砂災害などに注目しがちですが、忘れてはいけないのが「風」への備えです。
台風による強い風では、物干し竿や植木鉢などが飛ばされたり、飛来物によって窓ガラスが割れたりする危険があります。また、停電によってエレベーターなどの設備が使えなくなる可能性もあります。
特に高齢者の場合、台風が接近してから屋外の物を片付けたり、雨戸を閉めたりしようとすると、強風にあおられて転倒するなど、対策そのものが事故につながりかねません。
地震とは異なり、台風はある程度接近する時期を予測できます。大切なのは「まだ風が弱いから大丈夫」と先延ばしにせず、早い段階から準備を進めることです。
この記事では、高齢者が台風に備える際に知っておきたい暴風対策を中心に、台風接近の2〜3日前から何をすればよいのか、窓やベランダはどう対策すればよいのか、暴風時には家のどこで過ごせばよいのかなどを詳しく解説します。
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台風の防災は「雨」だけでなく「風」への備えが重要

台風による災害というと、大雨による浸水や洪水を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、台風では暴風にも十分な注意が必要です。
強い風によって木が倒れたり、看板や屋根材などが飛ばされたりすることがあります。自宅のベランダに置いていた植木鉢や物干し竿などが飛来物となる可能性もあります。
さらに怖いのが、飛来物による窓ガラスの破損です。
割れたガラスが室内に飛び散れば、けがにつながる危険があります。窓が破損したことで風雨が室内へ吹き込み、家の中が危険な状態になることも考えられます。
高齢者の場合は、強風そのものにも注意が必要です。
風が強くなってから「植木鉢をしまっていなかった」「雨戸を閉め忘れた」と気づいても、外へ出たりベランダで作業したりするのは危険です。
台風対策の基本は、風が強くなってから何とかするのではなく、風が吹く前に屋外での作業を終わらせておくことです。
台風はいつから対策する?接近までの時間でやることを変える

台風には「接近するまでの時間」があります。
この時間を利用できることが、地震など突然発生する災害との大きな違いです。
高齢者の場合は、一度にすべての準備をしようとせず、台風の進路を確認しながら数日前から少しずつ進めておくとよいでしょう。
2〜3日前|台風の進路と自宅への影響を確認
まず確認したいのが、台風がいつごろ接近する可能性があるのかです。
気象庁などが発表する最新の台風情報を確認しましょう。
台風情報を見る際に知っておきたいのが「予報円」の意味です。
予報円は、「この円の中すべてが暴風になる」という意味ではありません。予報した時刻に台風の中心が予報円内に入る確率が70%であることを示しています。
台風の進路には幅があるため、「予報円の中心線から離れているから大丈夫」と判断するのも適切ではありません。
台風が自宅周辺へ影響する可能性があるとわかった段階で、買い物や家の周囲の確認などを始めましょう。
特に高齢者の場合は、直前になって買い物や片付けが集中しないよう、早めに動き始めることが大切です。
前日|屋外で行う台風対策を終わらせる
台風接近の前日までには、できるだけ屋外での作業を終わらせておきましょう。
特に確認しておきたいのが、ベランダや庭です。
植木鉢やプランター、物干し竿、ハンガー、ゴミ箱、園芸用品など、普段は問題なく置いている物でも、強風によって飛ばされる可能性があります。
自転車についても、そのままにせず風の影響を受けにくい場所へ移動するなどの対策を検討しましょう。
ただし、高齢者が一人で重い物を運ぶのは危険です。
「台風が来るから」と無理をして大型の植木鉢などを動かし、腰を痛めたり転倒したりしては本末転倒です。
自分だけでは難しい作業がある場合は、台風直前ではなく、早めに家族や周囲の人へ相談しておきましょう。
数時間前|外に出ず家の中の安全確保へ切り替える
風雨が強まり始めたら、屋外の対策は終了です。
「物干し竿をしまい忘れた」「雨戸を一つ閉め忘れた」と気づいても、暴風のなかで作業するのは避けましょう。
この段階では、スマートフォンなどを充電し、窓から離れて過ごせる場所を確保するなど、家の中でできる対策へ切り替えます。
特に避けたいのが、「ちょっと外の様子を見てくる」という行動です。
風の強さは一定ではありません。突然強い風が吹くこともあるため、外見上はそれほど荒れていないように感じても油断しないことが重要です。
台風の暴風から家を守るために確認したいこと

台風接近前には、自宅の周囲に「風で動く物」「飛ばされる物」がないかを確認します。
戸建てだけでなく、マンションでも対策が必要です。
ベランダの物干し竿や植木鉢は室内へ
マンションのベランダだから安心とは限りません。
物干し竿やハンガー、サンダル、植木鉢などは、強風で飛ばされる可能性があります。
「植木鉢は重いから大丈夫だろう」と考えず、可能なものは室内や風の影響を受けにくい場所へ移動しておきましょう。
飛ばされた物は自宅を傷つけるだけではありません。
近隣住宅の窓ガラスを割ったり、人にぶつかったりする危険もあります。
また、ベランダの排水口に落ち葉やゴミがたまっていないかも、風雨が強くなる前に確認しておきましょう。
窓ガラスの養生テープだけでは台風対策にならない
台風対策としてよく見かけるのが、窓ガラスへ「米」の字のように養生テープを貼る方法です。
ただし、養生テープを貼れば窓ガラスが割れなくなるわけではありません。
窓ガラス対策で重要なのは、そもそも飛来物が窓へ衝突する可能性を減らすことです。
雨戸やシャッターが設置されている住宅では、風が強くなる前に閉めておきましょう。
雨戸などがない住宅では、平時から飛散防止フィルムなどの対策を検討する方法もあります。
台風が接近しているときにはカーテンやブラインドを閉め、窓から離れて過ごすことも大切です。
「養生テープを貼ったから窓際にいても大丈夫」と考えないようにしましょう。
台風直前に屋根や雨どいを確認しない
屋根や雨どい、アンテナなども台風による被害を受ける可能性があります。
しかし、台風が近づいてから屋根へ上がって確認するのは非常に危険です。
高齢者の場合は特に、脚立を使った作業にも注意が必要です。
台風が接近するたびに屋根へ上るのではなく、屋根材のずれや雨どいの破損などは、台風シーズンに入る前の平常時に点検しておくことが重要です。
必要な場合は専門業者へ相談しましょう。
暴風が始まったら家のどこにいるのが安全?

台風の風が強くなったら、家の中にいるだけで安心と考えず、過ごす場所にも注意しましょう。
窓際を避けて家の内側へ移動する
暴風時に特に避けたいのが、大きな窓のすぐそばです。
屋外から飛んできた物が窓へ衝突すると、ガラスが破損する可能性があります。
できるだけ窓から離れ、家の内側にある部屋などで過ごしましょう。
寝室のベッドが大きな窓のすぐ横にある場合は、台風が最接近する時間帯だけ別の場所で休むことも選択肢です。
夜間に台風が接近する場合は、寝る前に安全な場所へ移動しておけば、暴風の最中に慌てて移動する必要がありません。
台風の目に入って静かになっても外に出ない
激しかった雨や風が突然弱まった場合も注意が必要です。
台風の中心付近には「台風の目」と呼ばれる領域があり、台風の目に入ると一時的に雨や風が弱まることがあります。
しかし、そのまま台風が通過したとは限りません。
台風の目を抜ければ、再び雨風が急激に強くなる可能性があります。
「静かになったから今のうちに外を確認しよう」と考えず、最新の気象情報を確認してください。
マンションの高層階でも強風には注意する
鉄筋コンクリート造のマンションに住んでいると、「戸建てより台風には強いから大丈夫」と感じるかもしれません。
しかし、高層階では地上付近より風が強くなることもあります。
特に注意したいのが、ベランダに置いてある物と窓です。
暴風が予想される場合はベランダの物を事前に片付け、窓から離れて過ごせるようにしておきましょう。
マンションでは戸建てとは異なり、停電によるエレベーターや給水設備などへの影響も考えておく必要があります。
台風で停電したら高齢者は何に注意する?
台風では強風による倒木や設備の損傷などによって、停電が発生することがあります。
高齢者にとって注意したいのが、暗い室内での転倒です。
普段なら問題なく歩ける廊下でも、停電して真っ暗になると家具や段差が見えにくくなります。
懐中電灯などは、「停電してから暗闇の中で探す」のではなく、すぐ手が届く場所へ置いておきましょう。
マンションでは、停電によってエレベーターが停止する可能性もあります。
高層階に住んでいる場合、エレベーターが使えなくなると外出が難しくなることも考えられます。そのため、必要な買い物などは台風が接近する前に済ませておくことが大切です。
また、マンションによっては停電が給水設備などに影響する場合があります。自宅の建物では停電時にどの設備が利用できなくなる可能性があるのか、管理会社や管理組合からの案内を平時に確認しておくと安心です。
冷蔵保存が必要な薬を使用している場合も注意が必要です。
薬によって適切な保存方法は異なるため、自己判断で保冷方法を決めるのではなく、停電した場合の対応をあらかじめ医師や薬剤師に確認しておきましょう。
台風が過ぎてもすぐ外に出ない

台風の雨風が収まると、「家の周りに被害がないか確認したい」と思うかもしれません。
しかし、台風が通過した直後にも危険は残っています。
道路や住宅の周辺には、割れたガラスや折れた枝、看板、屋根材などが散乱している可能性があります。
倒木や切れた電線にも注意が必要です。
特に切れた電線を見つけた場合は、絶対に近づいたり触ったりしてはいけません。
また、高齢者の場合は、濡れた道路や散乱した物による転倒にも注意が必要です。
雨が止んだからといって、すぐに外へ出る必要はありません。
最新の気象情報や自治体からの情報などを確認し、安全を確認してから行動しましょう。
高齢者の台風対策は「風が吹く前」に終わらせる
台風は、大雨だけでなく暴風による被害にも注意が必要な災害です。
飛来物による窓ガラスの破損や停電、倒木など、洪水とは異なる危険があります。
一方で、地震などとは異なり、台風はある程度接近する時期を予測できます。
この「接近までの時間」を防災に活用することが大切です。
台風の2〜3日前から情報を確認し、前日までにはベランダや庭など屋外で行う作業を終わらせる。そして暴風が始まるころには、外へ出なくても済む状態にしておきましょう。
特に高齢者は、「自分でやらなければ」と無理をして、重い植木鉢を動かしたり脚立へ上ったりする必要はありません。
自分だけでは難しい作業は、台風が来る前の余裕がある段階で家族や周囲の人、必要に応じて専門業者などへ相談することも立派な防災対策です。
台風対策で重要なのは、暴風が始まってから行動することではなく、暴風が始まる前に準備を終わらせること。
台風の予報が出たら「まだ大丈夫」と考えず、できることから早めに準備しておきましょう。
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